賭博師ジャックⅡ
あの直後―― ニケが率いる《ロックスミス機関》の精鋭の前にレナードは成す術なくして捕らえられた。 容疑は先日のビッグレース・7つのレース全てに対しての八百長と特定のチームへの妨害・器物破損罪。 余罪はそれ以外にも多々あるらしく、これからじっくり…
――最後のレースは第6レース以上に大盛り上がりの展開を見せた。 まず一番人気の「4」がマシントラブルでまさかの途中リタイヤ。 それに続いていた二番人気の「3」と三番人気の「6」がそれぞれトラブルに巻き込まれ、 リタイヤとまではいかなかったものの…
第5レースが開始する10分前、 VIPルームにはジャックの姿がまだ見当たらなかった。 「もしかして一人で逃げたのではないだろうな?」 嘲笑うようにして言い放つレナードに、 「ジャックに限ってそれは絶対にない」とハルが反論する。 「ふふ、どうやらご到…
第1レースが開始する直前、ジャックとレナードが互いにチケットを示す。 ハルにも意見を聞いたうえで番号を選んだジャック。 内容は『5-1-3のトリプルに1万ミラ』―― トータルでの勝率が一番高いトップ2に最近勢いのある3番を組み込んだ、 ある程度の手…
第1レースの開始15分前、先ほどのVIPルームに戻り、ジャックたちとレナードたちが相対する。 ルールはこうだ―― 始めはお互い、10万ミラからスタートする。 そして1レースにつき、購入できるチケットは1枚まで。 ただしパスはNG。 毎レース、必ず1…
第1レースがスタートするのは1時間後―― それまで互いに作戦を練ることとなり、ジャックは別の部屋に案内された。 なおそれぞれ相談役を一人付けるというルールで、 レナードにはニケが、ジャックにはハルが付くことになった。 「ねえ、こうして拘束も解か…
レナードの指定した場所―― そこは日々白熱したレース観戦が楽しめる共和国でも最大規模の導力車レース場だった。 ここでは一応賭博も認められており、それを目的に訪れる客も少なくない。 しかも今日は年に数回しかない実力派のレースチームが集うビッグレー…
「それじゃあハルちゃん、私の質問に答えてくれるわね?」 「うん、約束だから」 ハルが潔く首を縦に振る。 「ふふ、いい子ね。 こんなことを聞くのは無神経かもしれないけど…… 7年前、キングから何か受け取ったものはある?」 7年前の父の記憶……直後に起…
「いらっしゃいませ……ってニケさん!?」 「フフ、本当にこのボロ酒場で働いているのね。お邪魔するわよ」 ニケが慣れたようにカウンターの席へと足を運ぶ。 ゴロツキどもはニケが放つ色気に生唾を飲みつつ、彼女の一挙一動を黙って見守った。 「久しぶりね…
導力車レースの結果はレナードの勝利で終わった。 「すごかったわ、ジャック! けど残念だったわね」 駆けつけるハルに苦笑で返すジャック。 続いてやって来るレナードとニケ。 ニケは目を瞑り、レナードが怒りの視線をジャックに向ける。 「お前――また手を…
レナードとニケに従うままにやって来たのは導力車の草レース場だった。 ただし休業日なのか、車は一台も走っていない。 「すごい、これが導力車の……!」 草レース場とはいえ、れっきとした導力車のレース場。 幼い頃に父に連れて来てもらった記憶はおぼろげ…
映画を観終わった後、ジャックとハルは近くの喫茶店に来ていた。 とはいえ、寛(くつろ)いでいる様子はまったくない。 ハルは怒り心頭でジャックに奢らせたパフェを猛烈な勢いで口へと運ぶ――これで3杯目だ。 「あり得ない…… 初めての映画で居眠りするなんて………
導力カメラで撮影し、編集した映像を巨大なスクリーンに投影して音声と共に鑑賞する《映画》―― それはカルバード共和国が他国に先駆けた文化で、 ここ数年の内に庶民でも楽しめる娯楽として徐々に広がりを見せている。 普段はハルの誘いに反応の鈍いジャック…
――カルバード共和国。 この国には東方からやって来た移民たちが、故郷を想い、故郷に似せて築き上げた街がある。 俗に「東方人街」と呼ばれるこの街はいつも人々の活気と熱気で満ち溢れている。 活気があるのは街の“裏”側も同様だ。 だが半年前、その情勢が…
今後の投稿予定をば取り急ぎ…というのは建前で、いっつも記事投稿は予約でやってるんですが、その時カテゴリー分けするのに公開した記事しかカテゴリー判定してくれないんで、タグをごちゃまぜにしたものを置かせていただきたい(笑) あ、ちなみに動画をあげ…