徒然雑記帳

ゲームプレイを中心に綴っていくだけのブログ。他、ゲーム内資料保管庫としてほいほい投げます。極稀に考察とかする…かな?お気軽に読んでいってください。

賭博師ジャックⅡ 最終回 その後の三人

あの直後――

ニケが率いる《ロックスミス機関》の精鋭の前にレナードは成す術なくして捕らえられた。

容疑は先日のビッグレース・7つのレース全てに対しての八百長と特定のチームへの妨害・器物破損罪。

余罪はそれ以外にも多々あるらしく、これからじっくりと取り調べられるそうだ。

なおその罪は当然、あの第7レースで奇跡の復活劇を果たしたカルロスも同様……

共犯者として裁かれることになる。

 

そしてあれから一週間がたった東方人街のボロ酒場。

そのカウンターでジャックは珍しくニュース紙を手に取り、

レナード逮捕の記事を改めて確認していた。

カウンターの内側では、ハルがバーテンの真似事――いや練習をしている。

 

「そういえば、ジャック。あの時の5500万って……」

 

「ああ、どうやらあれも不正に手にしたミラって扱いになるらしくてな。

あの後、ニケの奴に没収されちまった」

 

「そう、ちょびっとだけ残念ね」

 

「はは、確かに」

なお知り合いに頼んだ1億1000万の方は無事だったが約束通りいつかカルロスに渡すと決めている。

 

「……それで、記憶結晶(メモリークオーツ)に関しては本当にあれでよかったのか?」

 

「うん、だってまたあれが原因で狙われたくないし」

 

レナードが欲した、キングの遺した闇の交遊録……

その扱いについてはハルに判断を任せ、ハルはニケに渡すという選択をした。

 

いつかハルが闇の世界と関わりを持ってしまった時、

身を守るための切り札として使える情報――

そんなキングの親心だったが、

その存在自体が明るみになった時点で少女が持つには危険すぎた。

 

ちなみにこの切り札――キングの形見の話を知るのはジャックとニケの二人だけだった。

もっとも首飾りに仕込まれていることはジャックだけの秘密だったのだが……

先日この酒場に来た時、ニケはハルとの賭けに勝つことでそれを知ったのだった。

 

ニケの現在の素性を知った今、

レナードの逮捕よりもむしろそちらを手に入れることの方が狙い――

今さらながら、ジャックにはそんな風に思えた。

 

「で、結局ロックを解除するキーワードというのは何だったの?」

 

「知りたいか……?」

 

「もちろん」

 

「――HALLE MY LOVE.(愛しのハル)

まったく、親バカのキングらしいよな」

 

「あ……」

キングの想いに触れ、不意を突かれたのか、ハルの目から一筋の涙が零れた。

ギャンブルに関しては天才だが……

それ以外に関してはまだまだ歳相応の娘に過ぎない。

 

「それはそうとジャック。お願いがあるんだけど……」

 

涙をぬぐってそうハルが言いかけた時、

店の扉がそろそろ限界と言わんばかりの悲鳴を上げ、酒場に新たな客を運んでくる。

 

やって来たのは――

活動的なパンツルックで、眼鏡をかけたニケ。

 

「久しぶりね、ジャック。今日はあなたに話があって来たの。

よければまた、私とコンビを組まない?」

 

「ちょ、ちょっとニケさん!? それは今わたしが……」

慌てるハル。

どうやら今まさに、同じことを言おうとしていたらしい。

 

何だかまた騒がしいことになりそうだ……

ジャックは頭を抱えた。

<END>

 

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