徒然雑記帳

ゲームプレイを中心に綴っていくだけのブログ。他、ゲーム内資料保管庫としてほいほい投げます。極稀に考察とかする…かな?お気軽に読んでいってください。

賭博師ジャックⅡ 第12回 後半戦

第5レースが開始する10分前、

VIPルームにはジャックの姿がまだ見当たらなかった。

 

「もしかして一人で逃げたのではないだろうな?」

嘲笑うようにして言い放つレナードに、

「ジャックに限ってそれは絶対にない」とハルが反論する。

 

「ふふ、どうやらご到着のようね」

ニケの言葉通り、ようやくジャックが戻ってくる。

 

「悪いな、ちょっと便所が長くなった」

軽口を叩くジャック。

言葉の少なかった前半戦とは打って変わっていつもの調子を取り戻したようだ。

 

そんなジャックの様子にハルは少し安堵し、急いでチケットを購入するよう促す。

 

第5レース――

ジャックは前半戦に引き続いて強気でトリプルに賭ける、

ただし額は5000ミラと少額だ。

 

「強気と思いきやここで掛け金を下げるとはな」

レナードは表面的には勝ち誇りつつも、

最終レースに資金を温存するというジャックの作戦を見抜き、

内心こざかしいと思った。

ここで攻めの手を緩めるわけにはいかない―

そう考え、勝率の決して高くないチームにシングルで何と10万ミラもの額を賭ける。

 

結果、レナードがまたしても当て、ジャックはハズレ。

今の勝負でレナードは手持ちミラを50万の大台に乗せた。

一方ジャックの残りは5万5000ミラ……

その差は10倍近かった。

 

そして第6レース――

ジャックは先ほどと同様、トリプルに5000ミラ。

レナードは今回のレースを難しいと判断したのか初めて置きに行き、

高確率のデュオで1万ミラに留めた。

 

結果、大方の予想を覆す熱いレースが繰り広げられ、

今日ここまでで一番の名レースとなった。

トリプルでは、ダブルオーチケットまで飛び出したが、結果は、両者ともはずれ。

 

「今のレースでトリプルに賭けていれば……!」

結果論で悔しがるハル。

だがジャックにはもう、最後のレースしか映っていなかった。

 

 

 

――ついにビッグレースのメインイベントであり、

本日の最終レース、第7レースの時間がやって来た。

 

この時点でジャックの手持ちはピッタリ5万ミラ。

レナードの手持ちは、先ほどと大して変わっておらずおよそ50万ミラ。

 

差にして10倍……

ジャックが勝つには、少なくとも10倍を超えるチケットを当てなければならない。

しかもこれはレナードがはずす前提での話だが。

 

なお最後はチケットを互いに示さずレース後に見せる取り決めだった。

その方が盛り上がるという、レナードの提案だ。

 

そして――

レース場のスタートシグナルが赤から青へと変わった。

 

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