賭博師ジャックⅡ 第10回 ルール
第1レースの開始15分前、先ほどのVIPルームに戻り、ジャックたちとレナードたちが相対する。
ルールはこうだ――
始めはお互い、10万ミラからスタートする。
そして1レースにつき、購入できるチケットは1枚まで。
ただしパスはNG。
毎レース、必ず1枚は買わなければならない。
ビッグレースに出走する導力車の数は毎回揃って12台。
3位以内に入る番号をどれでもいいから当てる“マルチ”――
もっとも当てやすいがゆえに配当率が一番低い。
1位の番号を当てる“シングル”――
マルチより当てるのは難しいが、確率はまだ高めな方で次いで配当率が低い。
“デュオ”そして“トリオ”――
それぞれ2位以内、3位以内に入る番号をすべて当てる必要があるが、順位は問わない。
当然確率が低ければ低いほど配当率が高い。
最後は”ダブル”と”トリプル”――
それぞれ1~2位、1~3位の番号を順位を含めてピタリと当てなければならない。
特に“トリプル”は当てるのが最も難しく、当然それに合わせて配当率も一番高い。
計6種類あるチケット――
これをそれぞれで購入した後、互いに示しあって競い合う。
賭けるミラの額にルールはなく、手持ちの中でやりくりさえできれば何でもいい。
ただし、持ち金が0になった時点で敗北が決定する。
なお今日行われるレースの数は全部で7回、前半に4回、後半に3回行われる。
中でも後半の3回、特に最後のレースが一番配当率が高い。
1レースにかかる時間は、10~15分程度。
必ず一度のピットイン(動力車のEPチャージ、及びタイヤ交換などを行うために整備所へ入ること)を行うことが義務付けされており、その辺りの駆け引きやスピードも勝負の見所となっている。
また各チームの背後にあるのはスポンサーである様々な企業や団体の思惑だ。
導力車レースとは参加するチームだけでなく、
共和国の数多ある勢力がプライドと評判を賭けて鎬(しのぎ)を削る真剣勝負の舞台でもあった。
なお、結果を出したチームには莫大な賞金も支払われる。
そうして改めてルールを確認した後、
ジャックとレナードがそれぞれ第1レースのチケットを購入する。