徒然雑記帳

ゲームプレイを中心に綴っていくだけのブログ。他、ゲーム内資料保管庫としてほいほい投げます。極稀に考察とかする…かな?お気軽に読んでいってください。

カーネリア

カーネリア 最終回 《帝 国 時 報》《インペリアル・クロニクル》・Ⅱ

白い世界に飲み込まれた僕は、固い地面の上へと吐 き出され、転げ落ちた。 陽の匂いのする温かな大地。天国の床は、まるで敷石のような手触りだ。手で周囲を探ると、ごわついた髪の毛が触れた。シスターも僕と一緒に「女神行き」になったらしい。腹の底から…

カーネリア 第10回 発動

対岸めがけ、シスターは黒い水煙を引いて飛ぶように駆けていった。たちまち僕は引き離される。 水門の方から魔法がひらめき、立て続けに空を切り裂くが、どれもシスターには届かない。水路に沈殿した汚物を吹き飛ばし、僕の体に爆風となって襲いかかってくる…

カーネリア 第9回 カーネリア

切れかけた導力灯の明滅が、汚水の波面に細い光を走らせていた。その前を、風音を残してシスターが駆け抜ける。足先から彼方の闇へ、斜めに遠ざかっていく彼女の影を追い、僕は息を切らして足を動かし続ける。 七耀教会の聖堂めざし、僕とシスターは休むこと…

カーネリア 第8回 帝都の腸

紳士たちの背に隠れるようにして、僕らは座席の間を進んだ。 膝の横に当たるたび、僕はバッグの存在を強烈に意識してしまう。まるで意図せずに誰かの体に触れてしまったような感じだった。その安っぽい布の手さげの中に、《猟兵団》が血眼になって追いかける…

カーネリア 第7回 女神行き

隙間風のような音を鳴らして、僕は息を吸い込む。導力器を握ったままの手で、首に食い込むシーツをほどいた。横を向くと、口から唾液が溢れた。どん、と背後で何かが動く気配。《猟兵団》の女が、まるでバネ仕掛けの人形みたいに跳ね起きる。腹に1発魔法を…

カーネリア 第6回 仕組みの確認

テーブルの上には、僕の導力器と、空にされたバッグと、あの古紙の包みが並べてある。遊撃士は僕の顔と卓上の小物とを、まるで見比べるように交互に眺めていた。いかつい皮手甲をはめた右手を見せ付けるように、しきりとあごをなでる。 僕が連行された先は、…

カーネリア 第5回 安息の使者

冷めたパンケーキの上にたたずむバターを、僕はじっと眺めていた。フォークを取り上げて、突っつき、裏返し、なすりつける。そうしているうちに、ますます皿の上の物への興味が失せてくる。僕の頭上でランプがじじっと音を立て、蜂蜜色の光をゆらめかせた。 …

カーネリア 第4回 肉の弾

シスター・カーネリアは僕の右手全体に激痛を与えたまま、やさしく語りかけてきた。 「大人しくしていてくれるわよね、トビー」 僕は涙目どころか本気で涙を流しながら首を縦に振った。瞬間、手首の角度はゆるまって、痛みは幻のように溶けて消えた。 「誤解…

カーネリア 第3回 シスター

列車は霧の中を飛ぶように走っていた。窓ガラスに吹き寄せられた水滴が透明なすじになって、いつまでも同じところで身をくねらせ続けている。 車窓に額をくっつけたまま、指で2枚のチケットをこすり合わせた。帝都から鉄道ではるか南部の国境の都市へ、王国…

カーネリア 第2回 駆動

「よう、トビー。いい時に来たな」 僕にそう声をかけると、ミヒュトはカウンターの中でもぞもぞと身じろぎした。食べていた焼き菓子を膝の上に置き、粉砂糖まみれの両手をぱんぱんと叩く。薄暗い店内に、甘い香料と焼きリンゴの匂いが広がった。 「ちょうど…

カーネリア 第1回 《帝 国 時 報》《インペリアル・クロニクル》・Ⅰ

僕は回転ドアの前に立ち、長靴のかかとをこつこつと鳴らした。コートの襟をひっぱり、あごを引いて、湾曲したガラスに映る自分の姿を眺める。短く切り揃えた頭髪に、どこにでもあるような革のコート、同じく革製のブーツは実のところ鉄板で補強された特注品…