帝国時報 第5号(1204/7/26)
【特別号】帝都夏至祭を巡る
いよいよ帝都の夏至祭が始まる。特に初日は伝統的な行事が多く執り行われ、見物される方も多いのではないだろうか。
本誌も特別号と銘打ち、見所をご紹介しよう。
◆皇族の方々のパレード◆
まずは最大の目玉であるパレードである。皇族の方々を間近で拝見できる数少ない機会。見逃さないよう注意されたい。
セドリック皇太子殿下は、例年通り大聖堂のミサに出席なさる。紅いリムジンでヴァンクール通りを西へ抜けられるようだ。
オリヴァルト殿下は競馬場で《夏至賞》をご観戦の予定。リムジンは緑でヴァンクール通りを直進、南へ向かわれるだろう。
アルフィン殿下はマーテル公園で園遊会に参加される。白のリムジンでヴァンクール通りを東、ガルニエ地区方面へ進まれる。どうかパレード見物の参考にしていただきたい。
◆各国大使が帝都に到着◆
宮中晩餐会に参加する各国大使が帝都を訪れている。リベール王国からはデュナン公爵、クロスベル州からはマクダエル議長が参加。レーグニッツ知事と挨拶を交わした。また来月開かれる西ゼムリア通商会議の調整も行われる見込みだ。
◆帝都憲兵隊よりの告知◆
夏至祭初日は帝都各所で大変な混雑が予想される。当日は憲兵の指示に従い、交通規制と混雑解消にご協力いただきたい。
【企画】独占インタビュー・鉄道憲兵隊
本年の帝都夏至祭の警備に参加するという《鉄道憲兵隊》の責任者に話を伺った。
本誌:取材をお受けいただきありがとうございます。
クレア憲兵大尉(以下大尉):鉄道は全く関係ないのに、という疑問ですね?――そうですね、質問で返すようですが、『鉄道の本拠』がどこかご存知でしょうか?
本誌:鉄道の本拠……でしょうか?
確か車両はルーレで製造されていたと思いますが……
大尉:全土に広がる鉄道網は、全てこの帝都より伸びているのです。つまりこの街、帝都は我々にとっても本拠と言えるでしょう。鉄道沿線の街に対して特殊な治安維持権限を持っている我々ですが、帝都の安全を守るのも使命と心得ています。
本誌:なるほど。てっきり帝都憲兵隊が人手不足なのかと。
本日はどうもありがとうございました。
【速報】怪盗B現る!
帝都の宝石店《サン・コリーズ》にて特別展示中だったティアラ『紅蓮の小冠』(時価約1億ミラ相当)が盗まれた。犯人はあの怪盗Bとされ、同日中に無事奪還されたものの、相変わらずの手並みに関係者は動揺を隠せない。
帝都憲兵隊の担当者は「夏至祭前日とは盲点だった」と警備を引き締めている。