徒然雑記帳

ゲームプレイを中心に綴っていくだけのブログ。他、ゲーム内資料保管庫としてほいほい投げます。極稀に考察とかする…かな?お気軽に読んでいってください。

『実録・北方戦役』

 

 

【開戦】

 七耀歴1205年11月3日、ノーザンブリア自治州南西の国境に位置するドニエプル門を突破する漆黒の影があった。サザーラント領邦軍司令《黒旋風》ウォレス・バルディアス准将が駆る黒い重装機甲兵ヘクトルである。搭乗者と同じ得物である巨大な十字槍は、門を守っていた《北の猟兵》の守備隊と、彼らが運用する『人形兵器』と呼称される自立稼働兵器をあっという間に蹴散らし、黄金の機体が率いる100機ほどの機甲兵大隊がエレボニア帝国より同自治州へと足を踏み入れた。

 黄金の機体を駆るのはラマール領邦軍総司令《黄金の羅刹》オーレリア・ルグィン将軍。この日、両将に率いられた旧貴族連合軍は宣戦布告と共にノーザンブリア自治州に侵攻、その後《北方戦役》と呼ばれる半月にも満たぬ侵略戦争の火蓋が切って落とされる事になる。

 

【背景】

 戦いの遠因は前年の帝国での内戦《十月戦役》に遡(さかのぼ)る。同内戦でノーザンブリアを本拠とする《北の猟兵》がクロイツェン州を始めとする貴族連合軍に雇われ、正規軍と戦ったのみならず交易町ケルディックを焼き討ちにしたのである。命令したのは四大名門・アルバレア公であったが、実行犯は同猟兵団であり、内戦後にこの事実が問題視され、翌年6月、帝国政府からノーザンブリア自治州に賠償請求が行われたのである。

 同自治州と北の猟兵は同一組織ではなかったが表裏一体で、民間人を巻き込んだ焼き討ちは確かに非人道的と謗(そし)られても仕方ないものだった。しかし慢性的な財政不足に陥っていた自治州にとって賠償金額は重くのしかかり、自治州議会が紛糾しているうちに北の猟兵が驚くべき行動に出る。議会を占拠した後(のち)、帝国の内戦でも暗躍していた《身喰らう蛇》と呼称される国際犯罪組織から大量の人形兵器の供与を受けたのである。

 7月5日、議会を占拠した北の猟兵から帝国政府に賠償金額請求の拒否が伝えられ、事態を重く見た帝国政府は様々な外交ルートを通じた交渉に入るが進展は無く、最終的にラマール州のジュノー海上要塞に在った旧貴族連合軍へ“ある打診”を行う。

すなわち同軍によるノーザンブリア攻略と制圧、その功績をもって難航していた領邦軍存続交渉を大幅に譲歩する取引だった。

かくしてオーレリア・ウォレス両将率いる旧貴族連合軍は8月末に海上要塞を放棄、2ヶ月におよぶ情報局・鉄道憲兵隊との共同作戦立案を経て開戦に臨んだのである。

 

【展開】

 ドニエプル門を突破した旧貴族連合軍は北の猟兵の拠点であったキルヴァ、リヴィリなどの小都市・町を制圧しつつ、首府ハリアスクに迫る。この期間僅かに3日間。しかし北の猟兵本部は大型人形兵器をハリアスク周辺に展開、あろうことか市内にも放つ形で徹底抗戦の構えを取る。オーレリア将軍は同市を包囲しつつ帝国政府の交渉ルートに一時任せ、時を同じくしてレマン自治州の遊撃士協会本部も高位遊撃士を数名派遣、事態打開に向けた試みが各方面で模索された。

 そして帝国本土からは、政府の要請を受けた灰色の騎士ことリィン・シュバルツァーがその愛機と共に派遣されるが、オーレリア将軍の設定した猶予期間である1週間はあっという間に迫ってくるのだった。

 

【決着】

 11月12日、灰色の騎士と高位遊撃士たち、および鉄道憲兵隊の精鋭が市内に潜入し、大型人形兵器の撃破と猟兵団幹部の拘束作戦を敢行するが、人形兵器の暴走によって市民の避難に時間を取られた結果、遂に刻限を迎えてしまう。

 11月13日早朝、オーレリア・ウォレス両将率いる機甲兵大隊はハリアスク市の防衛線を粉砕、猟兵部隊を蹴散らしつつ市内に侵攻し、同日正午にはハリアスク議事堂を占領した。

 灰色の騎士および遊撃士たちの働きにより、市民への被害は極めて軽微、同将軍らの戦力が圧倒的だったためか猟兵部隊の死者も想定を下回り、この日数千人の戦力を擁する巨大猟兵団《北の猟兵》は完全降伏することになる。

 

【併合】

 その後、帝国政府の高官も現地に入り、具体的な戦後交渉が開始された。しかし猟兵団がもたらす外貨に財政面で頼っていた自治州に最早自力再建できる力は無く、ギルドや七耀教会の異議や周辺国の懸念もあったが(共和国は終始一貫して非難)、11月30日、同自治州の帝国への帰属が最終決定する。

 そして12月23日――皇帝ユーゲントⅢ世の承認を受けてエレボニア帝国・ノーザンブリア州が成立するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                    M・ニールセン