クロスベルタイムズ 1204年後期 9号
【特報】クロスベル自治州、国家独立を宣言!!
(はじめに)
国家独立に関する住民投票の結果について、選挙管理委は投票率が90%を超え、7割以上の得票を持って「国家としての独立」が採択されたと発表した。高い投票率の背景には、先のクロスベル市襲撃事件への市民への関心があるようだ。一連の事件が帝国あるいは共和国の暴力ではないかとの声も根強く、人々が自治州の新しい姿を求めた結果なのかもしれない。
本誌の報道について
当初「クロスベル市民の意思の確認」とされていた今回の投票だが、開票後は異例の展開へと進んだ。議会でも慎重意見が相次いだ中、市長が押し切った形の独立宣言。周辺諸国への影響はこれ以上ないと言ってよいほど大きいものだが、本誌はクロスベルに籍を置く通信社として誠実な報道を行っていくことをここに明記したい。(編集長)
◆ディーター市長、国家独立を宣言!◆
ディーター・クロイス市長は昨日の会見で、クロスベル自治州の「国家独立宣言」を発表した。市長はこれを正式な国際宣言だとし、合わせて「クロスベル独立国」の名称を提唱した。
続いて市長は独立国としての改革に言及。国家憲法の制定、宗主国であった帝国・共和国からの自治権の破棄および税収10%譲渡の完全撤廃、さらに強力な国防・治安維持能力をもつ組織として、警察と警備隊を統括する「国防軍」の設立などを宣言した。
自治州政府(独立国政府に改称予定)は合わせて会見を開き、これらの改革を一ヶ月以内に施行するとしている。
今回の独立宣言に関し、政界関係筋でも「異例の急展開だ」と混乱が続いている。しかしディーター市長は慎重姿勢だったマクダエル議長を論破したとされ、当面混乱は収まりそうにない。
◆関係国の反応は……?◆
現在宗主国の1つである帝国政府は即日会見を開き、提言を断固却下すると発表。共和国政府も「自治州は歴史的に共和国領にあたる」との談話を発表、事実上宣言は無効だとした。
またリベール王国のアリシアⅡ世は、民意は尊重されるべきだが現時点での独立宣言は性急との見解を発表。レミフェリア公国も事実確認を要請中とし、近々同様の発表を行う模様だ。アルテリア法国は公式上の発表予定はないとしているが、「国家は1日で成るものではない」(広報関係者)と戸惑いが広がっている。
◆クロスベル市では◆
突然の発表に市内でも混乱が広がったが、現在では歓迎する声が多く聞かれる。一方で「意思の確認をするだけと聞いたから賛成に投じた」など困惑の声も。
取材を通して一番強く感じたのは、今はどこも混乱しているという事だった。クロスベルが本当に独立への道を歩みだしたとすれば、困難はむしろこれからなのかもしれない。