人形の騎士 【第7巻 穏やかならざる日々】
王女の護衛は、予想以上に大変でした。
なにしろ、毎日のように
ならず者が送り込まれてくるのです。
そのうちに、年が近いこともあってか
ティーア姫は、従者を装うペドロにも
親しく声をかけるようになりました。
王女の信頼は嬉しかったのですが
蒼騎士の正体が知れたらどうなることか。
ペドロは気が気でありませんでした。
一方、郊外にある人形工房には
ペドロからの伝言状が届けられました。
『何をやっとるんじゃ、あやつは・・・』
あいまいに綴(つづ)られた文面から
おおよその事情を察したカプリは
苦笑まじりに、ため息をつきました。
『じゃが、いい機会かもしれんな』
ほがらかで、性根もまっすぐなのに
いつも人形のことばかり考えているペドロ。
郊外に住んでいることもあって
親しい友人に恵まれていないにも関わらず
それを淋しく思っている様子も見られません。
王女殿下の護衛は恐れ多いながらも
これを機会に、人の情に目覚めてくれたら。
カプリは、親心にそう願うのでした。