徒然雑記帳

ゲームプレイを中心に綴っていくだけのブログ。他、ゲーム内資料保管庫としてほいほい投げます。極稀に考察とかする…かな?お気軽に読んでいってください。

その他書物・エレボニア:1206年

その他書物(エレボニア・1206年)

 

 

『最新機甲兵年鑑』

『最新機甲兵年鑑(1206年版)』

 

 機甲兵(パンツァーゾルダ)が世に披露されて2年、帝国が誇る天才導力学者G・シュミット博士の設計によるこの人型有人兵器は、当初貴族連合軍の切り札的存在だったが、内戦後に帝国正規軍でも正式採用され、さらなる進化を遂げようとしている。昨年の初号に続く第2号となる本年鑑では、最新型となるVerを中心に紹介していこう。

 

【ドラッケンⅡ】

 もっとも汎用性が高い一般機として設計された機体。特殊な機能は搭載していないが扱いやすいと評判。最新型は甲冑風の装甲を見直すことで防御・機動性の強化も行われた。

 

シュピーゲルS】

 ドラッケンをベースに強化された上位機・隊長機。出力と反応速度が上がっているが操作には習熟を要求する。機甲兵の弱点である防御能力をカバーするべく、戦車砲を弾くフィールドを瞬間的に発生させる《リアクティブアーマー》も搭載するが、使いこなすのは更に難しいという。

 

ヘクトル弐型】

 高い出力と防御性能を実現するために設計された機体。ドラッケンの1.5倍の装甲と出力を誇るが、その分速度と機動性は劣る。ショルダーユニットに連装キャノンも搭載可能。最新型は速度・機動性が僅かに向上している。

 

ケストレルβ(ベルタ)】

 高い速度と機動性を誇る軽量化機体。バーニアを使用することで瞬間的な跳躍・高速移動を可能にしている。飛行船を利用した高度からの急襲作戦にも対応可能。防御が難点だったが、最新型では関節部の防御性能が向上した。

 

【ゴライアス・ノア】

 巨人機とも称される圧倒的出力・装甲性能を誇る特別機。巨大な腕による白兵戦と、肩部のブラスターキャノンによる遠距離攻撃により戦場を蹂躙できる。速度・機動性・運用性が難点だがバーニアによる短距離移動も可能。一機あたりの生産コストがドラッケンの20倍近いため量産はされていない。

 

【性能諸元】

 

▼ドラッケンⅡ

 全高:7.0アージュ 本体重量:6.8トリム

 材質:強化クロムスチールⅡ

 兵装:T3型機甲兵用ブレード/T3型機甲兵用シールド

    M10アサルトライフル

 

シュピーゲル

 全高:7.1アージュ 本体重量:6.8トリム

 材質:強化レディアントスチールⅡ

 兵装:S2型機甲兵用ブレード/S2型機甲兵用シールド

 

ヘクトル弐型

 全高:6.6アージュ 本体重量:8.3トリム

 材質:強化クロムスチールⅢ

 兵装:A02バンカーフィスト/B03ショルダーカノン

 

 

ケストレルβ(ベルタ)

 全高:6.8アージュ 本体重量:4.6トリム

 材質:超軽量レディアントスチールⅡ

 兵装:S4型軽量化ブレード

 

 

▼ゴライアス・ノア

 全高:11.8アージュ 本体重量:58トリム

 材質:複合クロムスチールⅡ

 兵装:X03ダイナストアーム/X07ブラスターキャノン

X09連装ミサイルポッド/X13リアクターベイル

 

『クロスベル州観光案内』

 

 エレボニア帝国最東端に位置するクロスベル州は、昨年の正式併合を経て、私たちにとってより一層身近で訪れやすい地域となりました。国際的な貿易・金融都市として知られる同市ですが、市内の観光スポットは数多く、また市外にも多彩な観光名所が存在します。以下では代表的なものを紹介しましょう。

 

【M・W・L(ミシュラムワンダーランド)】

 クロスベル州の南に広がるエルム湖の対岸にある大陸初の大型テーマパークです。観覧車や屋内コースター、魔法の城などの遊戯施設の他、リゾートホテルなども併設しています。マスコットキャラ“みっしぃ”は帝国本土でも最近人気とか。

 

【歓楽街】

 クロスベル市北西にある一大歓楽街です。カジノや高級クラブなどが並ぶ他、《アルカンシェル》という大陸有数のパフォーマンス集団の劇場がありますが、現在看板女優の療養により公演は縮小しています。昨今では帝国本土のオペラや劇団、レミフェリアのバレエ団の公演なども開かれています。

 

東通り】

 クロスベル市東側にある、帝国では珍しい東方風の街並みの通りです

エキゾチックな建物や東方料理の名店がある他、様々な屋台が軒を連ねており、屋台グルメが満喫できます。なお港湾区には同じく東方の流れを汲む行列必至の拉麺屋台も。

 

【オルキスタワー】

 高さ250アージュとなる大陸初の超高層ビルディングです。一昨年に建造されたばかりですが、クロスベル市庁舎、独立国大統領府、現帝国総督府など数奇な運命を辿っています。特定の期間以外は屋上や最上階は展望台として開放され、晴れた日は州全体のみならず帝国本土まで一望できます。

 

【アルモリカ村】

 クロスベル州北西にある風光明媚な農村です。一面の花畑と特産品の蜂蜜で知られ、周辺には中世の遺構も点在しています。クロスベル市から導力バスで30分ほどで行けるため、心と体を癒したい人に人気のスポットです。

 

【聖ウルスラ医科大学

 医療先進国レミフェリアの協力で設立された近代医学専門の大学・総合病院です。最新医療を求めて州外・国外から訪れる患者や、簡易健康診断を申し込む観光客も近年増えています。交通は導力バスだけでしたが、昨年クロスベル市からの鉄道が延伸され、医科大学とミシュラムを結びました。

 

 

 

 

 

クロスベル観光振興協会

 

『ボード&カードゲームのすゝめ』

 

 帝国には伝統的なボードゲーム、カードゲームの数々があり古くは貴族の嗜みとして、庶民の気晴らしとして愛されてきました。近年そういった文化を背景に新たな対戦式カードゲームも生まれており、本著では古今東西の代表的ゲームを紹介していきます。

 

【チェス】

 6種類16個の駒を使って対戦する2人用のゲーム。敵のキングを追い詰める(チェックメイト)と勝利。帝国では貴族階級の教養として嗜まれたが一般でも人気は高く、帝国内や国際的なプロリーグも存在する。

 

【チェッカー】

 縦横8マスのチェスボードを利用した、赤・黒12個の丸い駒を斜めに動かして取り合う2人用ゲーム。チェスセットに駒が付属することも多い。国際的には10マスの盤を使うルールも存在する。

 

バックギャモン

 盤上に配置された15個の駒を先にゴールさせるのを競い合うゲーム。ダイスを使用するため運が左右するが、長期的な戦略も要求される。カジノの定番ゲームの一つともなっており、過去には帝国法で禁止されたことも。

 

【ドミノ】

 ダイスの面を2つ接続したような牌のセットを使って行うゲーム。2人~4人で遊ぶこと可能で、同じ数字の目を合わせるように配置していくパズル的な面白さが特徴。様々なルールが存在するが、ドミノ倒しのような遊び方も。

 

【トランプ】

 言わずとしれたカードゲームの代表。スペード・ダイヤ・クラブ・ハートの13種52枚のカードを1セットとして様々なルールで競うことが出来る。代表的なものはポーカー、ブリッジ、ブラックジャック、魔女抜き(ババ抜きとも)など多数。神経衰弱やトランプタワーなどの遊び方も。

 

【ブレード】

 ジュライ地方で考案されたという対戦式カードゲーム。武器をモチーフにした数字付きの手札を僅差で上回らせながら出し合うため“刃(ブレード)”の名前が付けられたという。後にルールを拡張したブレード2に発展した。

 

【VM(ヴァンテ―ジマスターズ)】

 帝国西部が発祥という対戦型戦術カードゲーム。ネイティアルと呼ばれる地・水・火・天の精霊カードを召喚・使役することで互いのマスターカードの体力点を削り合う。近年ルールやカードの種類が整備され、更なる発展が見込まれる。

 

『実録・北方戦役』

 

【開戦】

 七耀歴1205年11月3日、ノーザンブリア自治州南西の国境に位置するドニエプル門を突破する漆黒の影があった。サザーラント領邦軍司令《黒旋風》ウォレス・バルディアス准将が駆る黒い重装機甲兵ヘクトルである。搭乗者と同じ得物である巨大な十字槍は、門を守っていた《北の猟兵》の守備隊と、彼らが運用する『人形兵器』と呼称される自立稼働兵器をあっという間に蹴散らし、黄金の機体が率いる100機ほどの機甲兵大隊がエレボニア帝国より同自治州へと足を踏み入れた。

 黄金の機体を駆るのはラマール領邦軍総司令《黄金の羅刹》オーレリア・ルグィン将軍。この日、両将に率いられた旧貴族連合軍は宣戦布告と共にノーザンブリア自治州に侵攻、その後《北方戦役》と呼ばれる半月にも満たぬ侵略戦争の火蓋が切って落とされる事になる。

 

【背景】

 戦いの遠因は前年の帝国での内戦《十月戦役》に遡(さかのぼ)る。同内戦でノーザンブリアを本拠とする《北の猟兵》がクロイツェン州を始めとする貴族連合軍に雇われ、正規軍と戦ったのみならず交易町ケルディックを焼き討ちにしたのである。命令したのは四大名門・アルバレア公であったが、実行犯は同猟兵団であり、内戦後にこの事実が問題視され、翌年6月、帝国政府からノーザンブリア自治州に賠償請求が行われたのである。

 同自治州と北の猟兵は同一組織ではなかったが表裏一体で、民間人を巻き込んだ焼き討ちは確かに非人道的と謗(そし)られても仕方ないものだった。しかし慢性的な財政不足に陥っていた自治州にとって賠償金額は重くのしかかり、自治州議会が紛糾しているうちに北の猟兵が驚くべき行動に出る。議会を占拠した後(のち)、帝国の内戦でも暗躍していた《身喰らう蛇》と呼称される国際犯罪組織から大量の人形兵器の供与を受けたのである。

 7月5日、議会を占拠した北の猟兵から帝国政府に賠償金額請求の拒否が伝えられ、事態を重く見た帝国政府は様々な外交ルートを通じた交渉に入るが進展は無く、最終的にラマール州のジュノー海上要塞に在った旧貴族連合軍へ“ある打診”を行う。

すなわち同軍によるノーザンブリア攻略と制圧、その功績をもって難航していた領邦軍存続交渉を大幅に譲歩する取引だった。

かくしてオーレリア・ウォレス両将率いる旧貴族連合軍は8月末に海上要塞を放棄、2ヶ月におよぶ情報局・鉄道憲兵隊との共同作戦立案を経て開戦に臨んだのである。

 

【展開】

 ドニエプル門を突破した旧貴族連合軍は北の猟兵の拠点であったキルヴァ、リヴィリなどの小都市・町を制圧しつつ、首府ハリアスクに迫る。この期間僅かに3日間。しかし北の猟兵本部は大型人形兵器をハリアスク周辺に展開、あろうことか市内にも放つ形で徹底抗戦の構えを取る。オーレリア将軍は同市を包囲しつつ帝国政府の交渉ルートに一時任せ、時を同じくしてレマン自治州の遊撃士協会本部も高位遊撃士を数名派遣、事態打開に向けた試みが各方面で模索された。

 そして帝国本土からは、政府の要請を受けた灰色の騎士ことリィン・シュバルツァーがその愛機と共に派遣されるが、オーレリア将軍の設定した猶予期間である1週間はあっという間に迫ってくるのだった。

 

【決着】

 11月12日、灰色の騎士と高位遊撃士たち、および鉄道憲兵隊の精鋭が市内に潜入し、大型人形兵器の撃破と猟兵団幹部の拘束作戦を敢行するが、人形兵器の暴走によって市民の避難に時間を取られた結果、遂に刻限を迎えてしまう。

 11月13日早朝、オーレリア・ウォレス両将率いる機甲兵大隊はハリアスク市の防衛線を粉砕、猟兵部隊を蹴散らしつつ市内に侵攻し、同日正午にはハリアスク議事堂を占領した。

 灰色の騎士および遊撃士たちの働きにより、市民への被害は極めて軽微、同将軍らの戦力が圧倒的だったためか猟兵部隊の死者も想定を下回り、この日数千人の戦力を擁する巨大猟兵団《北の猟兵》は完全降伏することになる。

 

【併合】

 その後、帝国政府の高官も現地に入り、具体的な戦後交渉が開始された。しかし猟兵団がもたらす外貨に財政面で頼っていた自治州に最早自力再建できる力は無く、ギルドや七耀教会の異議や周辺国の懸念もあったが(共和国は終始一貫して非難)、11月30日、同自治州の帝国への帰属が最終決定する。

 そして12月23日――皇帝ユーゲントⅢ世の承認を受けてエレボニア帝国・ノーザンブリア州が成立するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

M・ニールセン

 

ディストピアへの途(みち)』

 

 

 ――『ディストピア』という言葉をご存知だろうか?

 

 昨今、所謂“革新派”とされる勢力の言説によれば、旧態依然たる貴族体制を批判する際、それに代わるものとして皇室を頂点とした平等な身分制度と、強い国家としての充実を最優先すべしといった主張が見受けられる。それこそが帝国と全ての帝国人が目指すべき理想郷(ユートピア)であるとも。

 

 対する“貴族派”の言説は伝統の尊重一辺倒になりがちで、論理的な主張と言い難く、革新派の勢いに押されつつあるのが現状と言えるだろう。筆者も貴族性そのものに肯定的な立場を取るものではないが、それでもこの数年にわたる政治状況を見ていくと、首を傾げざるを得ない。

 

 その最たるものが、帝国政府代表ギリアス・オズボーン宰相の言動と施策である。革新派のリーダーとして知られる平民出身の同氏だが、宰相就任時に爵位を与えられながらも、あらゆる場面で身分制の排斥を訴え、また強硬に実行に移してきた。そのことが貴族勢力との間で火種となっているのは言うまでもないが、問題の本質はそこにあるのではない。

 

 彼の演説で幾度となく強調されるのが『激動の時代』という言葉である。確かに導力革命によってあらゆるものが加速し、領土のみならず経済という分野での争いが帝国内外で激増しているのは事実で、その主張は正鵠を射ているようにも見える。

だが、よくよく注意深く観察していくと、それらの対立や動乱の多くが帝国政府の強硬かつ巧妙な介入と、宰相自身が立ち上げた帝国軍情報局の工作の結果だと気付くはずだ。

 

 6年前に併呑(へいどん)されたジュライ市国、露骨な税制改革に敵意を募らせる大貴族たち、鉄道網拡張で犠牲となった一部の地域と住民――巨大な焔に煽られつつも吞み込まれ、時に憎悪という薪(たきぎ)としてくべられることで焔そのものを更に大きくする――

そんな光景が幻視できるのではないか。

 ならばその先にあるのは理想郷(ユートピア)などではなく、すべてが激動の時代という怪物への供物に捧げられる反理想郷(ディストピア)であるはずだ。

あらゆる善悪と倫理が融け落ちた、闘争原理に支配された世界。それが燎原(りょうげん)の火の如く帝国を、いや大陸全土を吞み込めば……。

 

 愚にも付かぬ妄想と笑われても構わない。個人への誹謗中傷とも取られよう。だが筆者は政治哲学者としての生命を賭けて本書を上梓する決意を固めた。願わくば一人でも多くの心ある人たちの目に止まらんことを――

 

     七耀歴1202年7月25日

     帝國学術院政治学准教授 ミヒャエル・ギデオン