帝国時報 第8号(1204/9/18)
【特集】通商会議襲撃事件の全貌
帝国政府は会見を開き、先月クロスベル州で起きた通商会議襲撃事件の詳細な報告書を纏め、皇宮へ提出したと発表した。本誌も資料を入手したため、改めて事件の全貌を追ってみたい。
◆テロリストの正体は◆
会場を襲撃したテロリストは、2勢力あったことが明らかになっている。共和国内で活動する『反移民政策主義』――そして『帝国解放戦線』である。両テロリストは互いの目的のために手を結び、要人殺害を目論んだと思われる。
◆事件解決の経緯は◆
会議中の超高層ビルを急襲したのは機関銃を備えた飛行艇。さらに両テロリストグループがビル内に侵入し、警備部隊と壮絶な撃ち合いとなった。この絶望的状況を覆したのはオズボーン宰相閣下である。事前に派遣していた精鋭部隊が活躍、結果オリヴァルト皇子にも大事なく事件を終息させた。
一重に閣下の危機管理能力の賜物といえる事件の経緯。だが当時の警備体制を見た専門家は「手緩すぎると言わざるを得ない」(軍関係者)。政府内にも非難の声があるという。
◆事件後の対応は◆
犯人を帝都テロ事件と同一犯であることを受け、帝国軍は警戒レベルをさらに引き上げ行方を追っている。まさに国賊に値するテロリスト集団と言えよう。何か有益な情報をお持ちの方は早急に通報されたい。
なお、事件後クロスベル州が独立を宣言したという情報があるようだ。脈絡がなく流言の類と思われる。
【政治】帝国領邦会議が臨時招集
西部ラマール州・海都オルディスにて帝国領邦会議が臨時で開かれた。帝国解放戦線のテロを受け、各地の治安維持で結束が確認されたという。
「我々は貴族としての責務を果たします」(会議に出席した四大名門の方)
【車窓の旅】温泉郷ユミル
今回は装いを変え、ローカルな路線に乗ってみたいと思う。『ユミル山岳鋼索鉄道』――いわゆるケーブルカーである。1時間弱の旅の先、たどり着くのは温泉郷ユミル。雄大なアイゼンガルド連峰に抱かれつつ、一献傾けるのはいかがか。
【文化】カレル離宮
帝都近郊に足を伸ばすと、思わぬ発見をすることがある。北西に位置するカレル離宮もその一つ。皇族の両殿下がお住まいになられる美しい離宮だ。警備担当者に聞いてみた。
「アルフィン殿下はここから女学院に通われているんですよね。リムジンが通るのは毎朝何時ごろでしょうか!?」
「殿下は専用列車でご登校なされます」