徒然雑記帳

ゲームプレイを中心に綴っていくだけのブログ。他、ゲーム内資料保管庫としてほいほい投げます。極稀に考察とかする…かな?お気軽に読んでいってください。

リベール通信

今回はリベ通。

 

リベール通信

FC

1号

【特集】まもなく女王生誕祭

 

◆節目の年の生誕祭◆

 本年60歳となられるアリシア女王陛下。そのご生誕を祝賀する生誕祭までいよいよあと半年を切った。記念すべき節目の年ということで、例年を上回る盛り上がりが期待されているが、今年は王国全土を戦火に包んだ《百日戦役》からちょうど10年の節目でもある。あの悲劇を繰り返さぬため我々には何ができるのか――陛下のもとに国民の集う生誕祭。王国の歩みを振り返り、その将来を展望するのにはまたとない機会なのではないだろうか。

 

◆王都グランセル 進む生誕祭の準備◆

祭典の準備が進む王都目抜き通りでは早くも市民たちが飾り付けの準備を始めているが気の早いことでは商人たちも負けてはいない。来たる祭典に向け着々と新商品を開発中だ。「毎年が勝負なんですよ」と東街区で評判のアイス屋を営むソルベさん。工夫をこらした新メニューは祭の当日まで秘密だそうだ。「お店は増えていく一方ですから」お祭がにぎやかになるのはいいこと、と笑顔で語りながらも、ソルベさんの目はすでにライバル店の動向に注がれている様子だった。

 

◆武術大会 今年の優勝者は?◆

 王立競技場では今年も生誕祭に先立ち女王陛下主催の武術大会が開催される。1対1の真剣勝負が人気を呼び、今ではすっかり祭の華となった感もあるこの大会。さて、今年の栄冠は誰の手に?

 

【社会】ボース各地で強盗事件

 本誌に入った連絡によると、ここ数日ボース市を中心とした一帯で強盗事件が多発。ハーケン門駐留の王国軍国境師団は警戒を強めている模様だ。

 軍からの公式発表はいまだないものの、目撃情報からグループによる犯行であることが明らかになっている。一刻も早い犯人の逮捕が望まれる。

 

【リゾート】たまに行くならこんな宿

 ヴァレリア湖畔の宿屋《川蝉亭》が今静かなブームだ。火付け役は王都の若い女性客。たまにはのんびり釣り糸を垂らす休日はいかが?

 

2号

 

【速報】定期船《リンデ号》失踪!

 

◆つかめぬ消息 定期船はどこへ?◆

 昨日午後、ロレントへ向かっていた定期船《リンデ号》が、東ボース上空にて消息を絶った。王国軍の懸命な捜索にも関わらず、一夜明けた今もその行方はつかめていない。

 

◆定期船は全便欠航◆

 捜索活動を優先するため、王国軍は東ボース上空を飛行禁止区域に指定。この影響で現在のところ定期船は全便が欠航している。

 

◆搭乗者17名、その安否は◆

 飛行船公社の公表した乗客名簿によると、出港当時《リンデ号》には乗客乗員合わせて17名が乗船していた模様。乗客の家族は不安を募らせている。

 

◆専門家の見解 「事故の可能性は低い」◆

 事故なのか事件なのか。専門家に話を聞いてみた。

中央工房・マードック工房長:現在の導力機関は技術的にも成熟し、墜落に直結する故障が発生するとは考えにくい。事故の可能性は低いと思う。

 

◆錯綜する情報◆

 帝国軍の一部派閥や、諸国で暗躍する傭兵部隊《猟兵団》による謀略説から、身代金目的の乗客誘拐説、果ては「古代竜」の生き残りによる襲撃説まで、現在《リンデ号》の失踪について実に様々な憶測が飛び交っているが、いずれも噂話の域をでるものではない。

その一方、先日ボース地方を騒がせた強盗事件との関連性については、まだ何の情報もない。

 こうした混乱はすべて、王国軍による情報の規制によって引き起こされている。規制は市民の不安を増すばかりだ。早期の情報公開が望まれる。

 

【社会】七耀石盗まれる! ロレントで強盗事件

 ロレント市長邸に保管されていた七耀石が何者かによって強奪された。現地支部所属の遊撃士が追跡、七耀石を奪還したものの犯人は逃走。市長と家族に怪我はなかった。「(犯人を)逃したことは残念だが遊撃士は最善を尽くした」(同支部代表)。

 

【文化】遺跡探訪

ロレント地方《翡翠の塔》~

 ロレント市から山道を行くこと百数十セルジュ。荒涼とした風景の中に、青緑色に輝く塔が現れる。王国に点在する《四輪の塔》の1つ、《翡翠の塔》だ。

 建国と同時期に建てられたとされるこの塔だが、その建造理由はいまだ謎のまま。最新の導力技術を駆使した近代的な研究が待たれる。

 

3号

【速報】《リンデ号》失踪事件続報!

 

◆身代金要求届く!◆

 王国軍関係者が明かしたところによると、昨日グランセルの飛行船公社とリベール王家に、犯人グループからの犯行声明が届いた模様。声明の中で犯人は自ら《カプア一家》と名乗り、乗客の生命と引き換えに巨額の身代金(一部情報によれば数千万ミラ)を要求しているという。

 

◆空賊団《カプア一家》とは?◆

 主に帝国領内からボース地方にかけての空域で活動していた空賊団。正確な規模は不明だが構成員20名程度の小規模な犯罪集団だといわれている。

 

◆どうなる今後の捜査 協力関係が鍵◆

 事件の詳細が明らかになったことで、今後は人質救出を第一とした捜査活動に重点が移る。対応の難しい局面が増加することが予想され、ますます王国軍と遊撃士協会の間の連携が問われることになる。ギルド関係者の言葉を借りれば、両者の関係は「最悪ではないが決して良くもない」という状態。これでは連携など望むべくもない。ギルドに独自の調査を依頼しているボース市長メイベル女史も、この状況を憂慮する者の1人だ。「なわ張り争いをしている場合ではないのです。両者とも大人になって頂かないと……」弱冠21歳にして重責を担う女史の嘆き。関係者は真摯に受け止めるべきだろう。

 

【技術】新鋭艦《アルセイユ》いよいよ大空へ!

  ツァイス中央工房で建造中だっ た高速巡洋艦《アルセイユ》(全長42アージュ)が、艤装を終え王国軍親衛隊に引き渡された。近日中に試験飛行に向かう。主導力機関の開発が遅れているため、基礎的な性能評価だけが行われる見通しだ。

 

【文化】書評『実録・百日戦役』

 戦役の終結からちょうど10年となる本年。多くの市民にとって惨事の記憶はまだ生々しく、過去を冷静に振り返ることは難しい。本書は客観的な史料を丹念に積み重ねることで、戦役の裏側にある真実を浮き彫りにしていく。時宜を得た好著といえよう。

 

【リゾート】たまに行くならこんな宿

 ツァイス地方南部、共和国国境からも程近いエルモ村の奥にその温泉宿《紅葉亭》はある。ひっそりとした東方風のたたずまいと、湯量の豊富な天然温泉に魅せられ、遠方からのリピーターも多いという。

 美容に良いと評判の東方料理も楽しみだが、本誌イチオシはなんと言っても露天風呂。初めは抵抗があるかもしれないが、1度なれてしまえばその開放感が病みつきに。満天の星空を眺めながらの入浴は格別の趣きだ。まずはしっかりタオルを巻いてトライして。

 

4号

【特集】空賊団を逮捕! 《リンデ号》事件解決!

 

◆人質全員を無事に保護◆

 王国軍の発表によると、軍情報部の部隊がボース地方の山岳地帯にて空賊団の隠れ家を発見。潜伏していた空賊団を逮捕し、同所に監禁されていた人質全員の無事を確認した。

 

◆《リンデ号》はラヴェンヌ廃坑に◆

 犯人逮捕に先立つこと数日、《リンデ号》はラヴェンヌ村北部の廃坑にて発見されていた。乗客らの姿はなく、すでにもぬけの殻となっていたが、この発見を境に捜査は急速に進展を見せることとなる。

 

◆光る活躍 新設部隊「情報部」◆

 《リンデ号》の捜査情報を分析し、空賊団の潜伏先を割り出す――この大仕事をやりとげたのは近年新設されたばかりの情報部だった。若手将校のリーダー的存在であるリシャール大佐に率いられたこの部隊は、名前の通り情報の収集と分析を専門とする。今回の事件ではモルガン将軍の指揮する国境師団が犯人の足取りを追い、情報の分析を情報部が担当。新旧両世代の将官のタッグが、見事捜査を成功へと導いた。

 

◆犯人逮捕の瞬間 突入作戦に本誌記者も同行◆

 「王国軍だ! 手を上げろ」――飛行艇での逃亡を試みる空賊団の前に、兵士が立ちふさがる。抵抗もむなしく次々と捕縛されていく一味。前代未聞の大犯罪《リンデ号》事件解決の瞬間だった。アジトに王国軍が乗り込んできたことが信じられないのか、頭目ドルン容疑者(32)の表情は最後までうつろなままだった。

 

◆作戦には遊撃士も参加◆

 作戦の成功は情報部の手腕によるところが大きいが、その裏にある遊撃士の貢献も見落とすわけにはいかない。軍の作戦開始に先立つこと数時間、数名の遊撃士が巧みな方法で空賊団アジトへと潜入。内部で空賊団との激しい戦いを繰り広げ、これが結果的には王国軍の作戦の大きな助けとなった。待ち望まれていた両者の協力だが、最後の最後にはからずも実現された形だ。

 

◆容疑者はレイストン要塞へ◆

 ドルン容疑者以下の空賊団幹部はレイストン要塞へ護送され、取調べも同地にて行われる予定。また、空賊団が使用していた帝国製の小型飛行艇《山猫号》も証拠品として軍に押収された。

 

◆人質は無事 胸なでおろす家族◆

 心待ちにしていた知らせを聞き、乗客の家族たちも久しぶりに晴れやかな表情を見せた。「最高の結果。関係者全員に感謝を捧げます」人質全員の無事が確認された直後、本誌の取材に対しボース市長メイベル女史はそうコメントした。その「最高の結果」をもたらしたのは、連日徹夜で陣頭指揮にあたったモルガン将軍をはじめ、多くの関係者の努力に他ならない。これまでの労をねぎらい、感謝を捧げたい。

 

【社会】デュナン公爵 ルーアン地方をご視察に

 女王陛下の甥にあたるデュナン公爵閣下が、ルーアン地方をご視察に訪れる。私的な視察ということで特にご訪問先は公表されていない。

 

【社会】あきれた帝国人 レストランで無銭飲食

 ボース市北街区の高級レストラン《アンテローゼ》が無銭飲食の被害に遭った。現行犯で逮捕されたのは自称「音楽家」の帝国人旅行者。即日ハーケン門に護送されたが、無銭飲食での地下牢入りは極めて異例。被害額が高額な上に計画的犯行であることなどを考慮した結果と軍関係者は説明している。

 

 

5号

【特集】リシャール大佐 独占インタビュー

 

◆王国軍の新星、その実像に迫る◆

 国中を騒がせた《リンデ号》事件。世紀の大犯罪を解決へと導いたのは、王国軍の新設部署である情報部の的確な判断だった――今号は読者のご要望に応え、情報部の創設者であるリシャール大佐への直撃インタビューを掲載する。多忙な日程にも関わらず質問に答えて下さった大佐に感謝したい。

アラン・リシャール大佐プロフィール:

 1168年生まれ(34歳)、独身。

 士官学校卒、大佐。王国軍情報部司令。

 

◆情報部の設立は「時代の必然」◆

本誌:《リンデ号》事件ではお疲れ様でした。

リシャール大佐(以下、大佐):私たち士官は机の前に座っていただけですよ。本当の功労者は現場で捜索にあたった兵士たちだと思いますが?

本誌:ご説ごもっとも――では、さっそく最初の質問です。《百日戦役》ではどのような任務を?

大佐:作戦立案から実際の戦闘、通信連絡、物資調達に至るまで、あらゆることをやりました。

本誌:その時の戦訓が情報部新設の動機ですか?

大佐:いえ、部の設立は時代の必然なのです。導力技術が発展し物事の動きは速くなった。我々もそれに呼応し変化しただけです。

 

◆王国軍には「質的な転換が必要」◆

本誌:将来、王国軍はどうあるべきでしょうか?

大佐:士官が語るべき内容ではありませんが、個人的な意見を述べるなら―――王国軍はより強固な組織に生まれ変わる必要があると思います。

本誌:軍備増強の必要があるということですか?

大佐:いえ、そうではありません。量の拡充でなく、質の転換が必要なのです。組織、装備、すべての面における質的な転換が―――。

本誌:(ここで時間)ありがとうございました。

 

◆記者の印象◆

 率直で気さくな人柄―――リシャール大佐の人物像は、世間に流布する「エリート」のイメージとは似ても似つかない。情報部設立の手際を見て分かる通り、ただ頭が切れるだけの人物ではなく、政治的な手腕にも長けている。王国軍に現れた新星、その動向は今後ますます世間の注目を集めそうだ。

 

【文化】学園祭迫る ジェニス王立学園

 学び舎のにぎわう季節がやってきた。今年もまもなくジェニス王立学園で学園祭が開催される。展示発表や各種の模擬店のほか、恒例の生徒たちによる演劇も予定されている。熱演を期待しよう。

 

【文化】遺跡探訪 ~ルーアン地方エア=レッテン~

断崖に突き出た水道橋から、流れ下ってきた湖水が滝となってほとばしる――――エア=レッテンの奇観には見る者を圧する迫力がある。中世の遺跡とされる水道橋だが、導力器もない時代にどうやって建設したのだろうか。興味は尽きることがない。現在、遺跡の内部は関所として利用されている。旅行者用の宿泊施設もあるので、ルーアン観光のついでに古代のロマンに触れてみるのはいかがだろうか。

 

【速報】孤児院が全焼

 昨日未明、ルーアン地方にあるマーシア孤児院から出火、同施設は全焼した。院長をはじめ施設で生活していた子供たちに怪我はなかった。遊撃士協会現地支部が出火原因の調査にあたっている。

 

 

6号

【速報】ルーアン市長逮捕! 放火など複数容疑で

 

◆突然の逮捕◆

 昨日午後、ルーアン市長ダルモア容疑者(48)が放火の共謀など複数容疑で王国軍親衛隊に逮捕された。

秘書のギルバート容疑者(25)も同容疑で逮捕。両名の身柄は情報部に引き渡され、即日レイストン要塞に護送された。

 

◆現職市長 おそるべき凶行◆

 ダルモア市長には複数の実行犯に命じ、マーシア孤児院への放火、同院院長への強盗致傷を計画した疑いがかけられている。実行犯はまだ逮捕されていないものの、市長秘書のギルバート容疑者がすでに謀議の現場で逮捕されており事実関係は明白だ。

 

◆白昼の大捕物 新鋭艦《アルセイユ》も参戦◆

 遊撃士による事情聴取の最中、ダルモア容疑者は突如として逃亡。自らの所有するヨットでルビーヌ川河口へと逃走を続けた。遊撃士は直ちにそれを追撃。最後は連絡を受け急行した巡洋艦《アルセイユ》がヨットの進路を阻んで御用となった。同容疑者はショックのためか一時記憶が混乱した様子を見せたが、現在は落ち着きを取り戻しているという。

 

◆善意の孤児院をなぜ? 事件の動機◆

 元貴族の家柄に生まれ、堅実に市政を運営してきた人物を凶行に駆り立てたもの――――それは私利私欲の果てに生み出された膨大な負債だった。

 本誌の調査によると、ダルモア容疑者は以前から投機的な市場取引に熱中。しかし1年前、共和国での取引に失敗、多額の負債を抱えることになる。

 負債の穴埋めに市の予算を流用した容疑者は、かねてより計画中だった別荘地の造成を急ぐ。分譲利益で急場をしのぐ腹積もりだったのだろう。しかし、そこで邪魔になったのが土地の売却に応じないマーシア孤児院だった。追い詰められた容疑者は放火という常識では考えられない手段に訴え、その後は坂道を転げ落ちるように次々と凶悪犯罪に手を染めていくことになる。

 

【社会】市政は混乱 待たれる速やかな選挙

 現職の市長が逮捕されたことで今後のルーアン市政には混乱が予想される。貴族制廃止と同時に制定された王国憲章では、こうした場合できる限り早期に選挙を行い新市長を選出することを定めている。市民生活の安定のためにも、速やかかつ公正な選挙の実施が待たれる。

 

【技術】能力は世界一 演算導力器《カペル》

 導力器を応用した機械式計算は飛行船の航法装置をはじめ幅広い分野で使われているが、ツァイス中央工房の《カペル》はその頂点に君臨する存在だ。

 《カペル》は百科事典数冊分もの記憶の中から、一瞬で必要な情報を見つけ出す。開発者のラッセル博士は現在この技術のさらなる応用を研究中だ。

 

 

7号

【速報】王国震撼! ツァイス中央工房でテロ

 

◆白昼のテロ事件◆

 王国軍情報部の発表によると、昨日ツァイス中央工房にてテロ事件が発生。具体的な被害は不明だが、犯人の使用した発煙筒の煙により現場は一時パニックに陥った。事件直後、「青い軍服」を着た兵士が現場から立ち去るのを住民が目撃しており、王国軍はツァイス地方に検問を敷いてそれら兵士の足取りを追跡中である。

 

◆「青い軍服」に深まる疑惑◆

 現場で目撃された兵士の「青い軍服」について、目撃者の間では早くから「王国軍親衛隊」の軍服だとの指摘が出ていた。情報部はまだ言明を避けているが、もし事実であれば王国軍の屋台骨をゆるがす大事件に発展することは間違いない。今後の捜査の進展を注意深く見守るべきだろう。

 

◆前々日に怪現象 事件との関連は◆

 事件の前々日の夜、ツァイス市内で導力器が停止するという怪現象が起こっていたことも明らかになっている。王国軍が事件との関連性を調査中だ。

 

◆検証 テロ事件の筋書き◆

 いまだ犯人の目的すら明らかではない今回のテロ事件。想定される事件の背景を検証する。

 

【仮説① 帝国陰謀説】:中央工房の高度な技術を目的として帝国軍の一部勢力が引き起こした事件とする説。実行犯には《猟兵団》のような傭兵部隊を用いたと考えられる。

 

【仮説② 王国軍内部反乱説】:王国軍部隊の一部が反乱を起こし、王国全土に動揺を与えるため中央工房の占拠を目指したという考え。しかし他に動乱の兆候はなく、説得力のある説とは言えない。

 

【仮説③ 古代竜襲撃説】:山岳地帯で生き延びていた古代竜が中央工房を襲撃したという一部研究者の奇説だ。後日改めて検証した方が良いだろう。

 

【文化】遺跡探訪

  ~ グランセル地方《アーネンベルク》 ~

かつての《百日戦役》では最後の防壁となり、帝国軍から王都を守り抜いた《アーネンベルク》。グランセルを包み込む「真珠貝」にもたとえられるこの長城も、王国に点在する古代遺跡の1つである。グリューネ、セントハイムの両門から城壁の上に登ってみれば、古代の英知を肌で感じることができるだろう。

 

【リゾート】たまに行くならこんな宿

 今回ご紹介するのは宿ならぬホテル。それも王国最高の格式を誇る《ホテル・ローエンバウム》だ。東街区まで歩いて数分、すぐお隣はグランセル城という夢のような場所にそびえる当ホテル。とことん生誕祭を楽しむなら見逃す手はないはず。各界のセレブも絶賛のサービスをこの機会にぜひ体験して。

 

 

8号

【特集】王都激震! 親衛隊が反乱謀議!?

 

◆王都に衝撃 親衛隊を逮捕◆

 昨日深夜の情報部の発表によると、王国軍親衛隊が王都において反乱を策謀。計画を察知した情報部特務部隊によって制圧されるという衝撃的な事件が発生した。事態を受けて軍作戦本部は同親衛隊の即時解隊を決定。逃走中とされるユリア・シュバルツ元中尉以下、同隊幹部を王国全土に指名手配した。情報部は先日の中央工房襲撃事件についても元中尉を中心とした親衛隊の犯行と断定した模様。それが決め手となって今回の逮捕に踏み切ったようだ。

 

◆エルベ離宮も封鎖◆

情報部は《エルベ離宮》に捜査本部を設置し、予想される反乱部隊の攻撃に備える方針だ。このため当面の間、離宮周辺は立入が禁止されることとなった。

 

◆エリート部隊がなぜ 深まる疑惑◆

 反乱計画、さらには中央工房襲撃事件――――陛下の信任も厚いエリート部隊に突然ふってわいた凶悪犯罪の容疑。親衛隊逮捕という衝撃的な一報に、王都市民の間では動揺が広がっている。情報部からはいまだ事件の動機、背景については何の説明もない。民心の安定のためにも、断固とした措置の根拠を明確に示すべきではないだろうか。

 

【社会】陛下はご静養中 生誕祭は延期か

 王室関係者の明かしたところによると、アリシア女王陛下は数日前からご体調を崩され、現在は女王宮にてご静養中の模様。陛下のお側にはクローディア姫殿下が付き添われているという。当面のご公務にはデュナン公爵閣下が代理として出席。ご体調の回復が思わしくなければ、生誕祭の延期もあり得る状況だ。軍部隊の逮捕にゆれる王都に、また1つ重苦しいニュースが加わってしまった。陛下の1日も早いご回復を願ってやまない。

 

【社会】熱戦始まる 武術大会予選開始

 陛下に代わりデュナン公爵閣下主催として開催されることになった本年の武術大会。暗い話題の多い世間をよそに、予定通り予選が開始された。公爵の強いご意向で今大会は4対4へと試合形式が変更。選手はメンバー集めに奔走することとなったが、共和国出身のある選手は当面1人で戦うことを選択したようだ。武術家の孤独な挑戦。果たして見事予選突破なるか。

 

 

9号

【特集】武術大会 優勝者決定!

 

◆栄冠は意外なチームに◆

特務部隊最後の1人がゆっくりと膝をつく。審判の手が空へ向かって伸びると同時に、闘技場は歓声と興奮の渦の中へと飲み込まれていった――

 個人戦から団体戦に変更されるなど、波乱の幕開けとなった今大会。やはり最後にも一波乱待っていた。優勝に輝いたのは共和国出身のジン選手率いる混成チーム。誰がこの快挙を予想できただろう。武術家、準遊撃士、音楽家という前代未聞の組み合わせ。それが決勝に駒を進め、特務部隊の精鋭を倒して栄冠を勝ち取ってしまうのだから、勝負というのは分からない。個々人の実力を足し合わせた以上の力を発揮し続けた優勝チーム。その強さの秘密はお互いを補い合うチームの和にあった。団体戦ならではのすばらしい熱戦が続く大会となった。参加したすべての選手たちの健闘を称えたい。

 

◆優勝チームは宮中晩餐会へ◆

 大会後のセレモニーでジン選手たち優勝チームには賞金10万ミラと宮中晩餐会への招待状が授与された。晩餐会はデュナン公爵の主催によるもので、各市の市長を始めとした有力者も列席の予定。

 

【社会】女王陛下、ご回復のきざし

 ご静養中だった女王陛下の体調が回復、まもなく公務に復帰される見通しであることが分かった。これまで開催が危ぶまれていた生誕祭も予定通り行われることが確実に。不穏なニュースの続く近頃だったが、久々に良い知らせが届いた。

 

【社会】情報部、王都に特務部隊を投入

 テロ事件の首謀者とされる旧親衛隊幹部の捜索が難航しているのを受け、情報部は防衛態勢のさらなる強化のため、王都に同部所属の特務部隊を配備することを決定。同時に王城全体の警備も同部隊に移管される見通しだ。

 

【社会】古代竜? ラヴェンヌ村で目撃談

 ボース地方北部にあるラヴェンヌ村で、空を飛ぶ巨大な影の目撃談が相次いで報告され、《大崩壊》以前の世界に生きていた「古代竜」ではないかと話題を呼んでいる。研究者の話によればボース地方は古代竜の姿が最後に目撃された土地であり、現在も生き延びている可能性はあるという。にわかに世間の注目を集めはじめた古代竜研究。研究者たちの熱気は高まるばかりだ。

 

 

特別号

【速報】情報部のクーデター計画潰える!

 

◆女王陛下を救出◆

 昨日正午、遊撃士と王国軍親衛隊を中心とする一団がグランセル城に突入。情報部による事実上の軟禁状態にあったアリシア女王陛下を救出し、同部特務部隊を制圧、王城を解放した。情報部司令リシャール大佐以下、同部の幹部はクーデター未遂の容疑で逮捕。これまで隠されてきた一連の事件の真相を、本号ではあますところなくお伝えする予定だ。

 

◆読者の皆様へ◆

 本号の見出しに驚かれた方も多いことだろう。

 これまで本誌では情報部の陰謀をあばくため、王城の占拠、陛下の軟禁など、重大事の掲載をあえて先送りにしてきた。突然の報道となったことをお詫びし、併せて読者のご理解を乞う次第である。(編集長)

 

◆狙いはクーデター リシャールの陰謀◆

情報部を創設した若き改革者――その仮面の裏に潜んでいたのは、用意周到にクーデターを進める計算高い謀略家の顔だった。

 リシャールの計画は、自らが率いる情報部を活用し汚職や女性関係など王国軍上層部の「弱み」を徹底的に収集することから始まった。この活動でリシャールは短期間のうちに王国軍内部を掌握。モルガン将軍ら清廉潔白な要人については、監禁など直接的な行動によって強引に動きを封じていく。

 

◆中央工房のテロ事件も情報部の犯行◆

 親衛隊逮捕の決定的な根拠となった中央工房でのテロ事件も、リシャール指揮する情報部特務部隊の犯行だったことが明らかになっている。つまり「青い軍服」の兵士たちは、親衛隊に濡れ衣を着せるための完全な偽装工作だった。事件の目的はある実験器材の確保と導力器研究の第一人者ラッセル博士の拉致にあったとされるが、事件の背景については現在も遊撃士協会が調査中だ。

 

◆姫殿下までも人質に◆

 軍の大部分を掌握したリシャールは、いよいよクーデター計画を実行に移す。アリシア女王陛下に代わって甥のデュナン公爵を王位につけ、自身はその背後から王家を支配する―――クローディア姫殿下を人質とすることで陛下に退位を迫るのがリシャールの目論見だったが、ここでユリア中尉率いる親衛隊が謀略を察知。姫殿下の身柄をめぐり、特務部隊と親衛隊の間で激しい戦いが繰り広げられた。だが、数に劣る親衛隊は敗北、クローディア姫を奪われてしまう。以後、親衛隊はテロリストの汚名を着せられ、地下に潜伏せざるを得ない状況に追い込まれる。もはや障害はなく、クーデターの成功は時間の問題となった。

 

◆意外な英雄の登場◆

 だが、思いがけないところから光が差し込む。

 とある人物たちが、特務部隊の警備をすり抜け城内へと潜入。さらに軟禁状態にある女王陛下と面会することに成功したのだ。遊撃士協会の意向もあり、ここで彼らの詳細を書くことは差し控えるが、ともかく情報部の規制により情勢がつかめていなかった協会は、彼らのもたらした情報によって初めて事態を把握することになる。そして以後、遊撃士協会が情報部に対抗する勢力の中心となっていく。

 

◆エルベ離宮、そして女王陛下の解放◆

 遊撃士協会は潜伏していた親衛隊のユリア中尉らと合流。まずは深夜の共同作戦によってエルベ離宮を解放し、クローディア姫殿下を始めとする人質の救出に

成功する。

 そして昨日、グランセル大聖堂の正午の時鐘を合図に、空中、地上、地下の3方から、遊撃士と親衛隊を中心とした救出部隊が王城への突入作戦を敢行。

 情報部に操られた王国軍の制圧部隊が迫る中、グランセル城内とその地下にかけて特務部隊との死闘が展開された。やがて、ついに遊撃士がアリシア女王陛下を救出。ほぼ同時刻、間近まで迫っていた王国軍部隊も、監禁を脱し王都に急行したモルガン将軍の説得により前進を停止しようとしていた――リシャールと情報部によるクーデター計画は、こうしてまさにぎりぎりの瀬戸際で阻止されたのだ。

 

◆名もなき人々の力 突入部隊の素顔◆

 ここまでの記事から明らかなように、情報部の野望を打ち砕いたのは1人の英雄の力ではない。名もなき人々の小さな勇気の積み重ねが、最後には巨大な陰謀を阻止するだけの力を生み出したのだ。

 女王陛下を救出した突入部隊の顔ぶれも、そのことを強く物語る。親衛隊や遊撃士に混じって、中には幾人かの民間人の姿もあったという。実はこの最後の戦いにおいても、解放側に集まった戦力は到底十分とはいえない状態だった。その不足を補ったのもやはりこれら市民の勇気だった。

 かくいう記者も、そうした勇気に支えられていた者の1人だ。中でも2人の準遊撃士には特別な感謝を捧げねばならない。彼らなしでこの事件を記事にすることは不可能だった。今その最後を書くにあたり、改めて感謝の念を強くしている。遊撃士協会によれば、まもなく彼らは待望の資格を与えられる予定だという。

この先は記者個人の伝言になるが、王国を救った英雄たちに免じ、どうかご容赦を。

 

 おめでとう! 心から祝福する――

 カレーでよかったら何杯でもおごるぜ。(N)

 

【社会】親衛隊の名誉回復 部隊を再編

 反乱者、テロリストの汚名を着せられ、各地に潜伏していた親衛隊の名誉が回復された。軍作戦本部は本日中にも正式に親衛隊の再編を決定、ユリア中尉以下全員が原隊に復帰する見通しだ。

 

【社会】モルガン将軍 作戦本部長に

 市民の楯となるべき軍の一部部隊によるクーデター計画――国家の存亡に関わる重大事件を未然に防げなかった王国軍は、組織の建て直しが急務だ。

 王国会議はすでにモルガン将軍を中心とした再建策を提案。王国軍もその意向に従う方針で、将軍は近く軍作戦本部長に就任する見通しだ。またその補佐役として、《百日戦役》で将軍の右腕となって活躍したカシウス・ブライト元大佐の復隊も発表された。元大佐は戦役後に除隊、その後は遊撃士協会に活躍の場を移していた。

 

【社会】《四輪の塔》で異変!?

 昨日午後、王国各地から「不思議な光を見た」との報告が多数寄せられた。《四輪の塔》の頂上から光線のようなものが発射されたという。現在は調査を待つ状態であり、詳しいことは分かっていない。

 

SC

1号

【特集】王国軍の再編を追って

 

◆クーデター事件から2ヶ月◆

 新編されたばかりの部隊ながら、その目覚しい活躍により更なる飛躍が期待された王国軍情報部。彼らによるクーデター事件が未遂に終わってから、もう早くも2ヶ月が過ぎようとしている――

実力部隊による反乱を未然に阻止できなかった王国軍は現在、事件への反省をもとに抜本的な組織改革に取り組んでいる。 

いかにして市民の信頼を取り戻すのか、苦闘の日々が続く再編の舞台裏に迫った。

 

◆進む再編 立ちふさがる問題◆

 作戦本部長モルガン将軍の指揮のもと、王国軍各部隊の再編は駆け足で進められて来た。しかし、百戦錬磨の宿将をもってしても、改革の本丸と言える指揮系統の立て直しには時間がかかっている。原因は「各指揮結節への情報部の関与が予想以上に根深い」(軍関係者)ことにあり、情報部の影響を完全に排除するのは困難とも言われる。元エリート部隊の浸透工作がいかに周到であったかを示す良い証拠であろう。

 

◆王国軍再起への道◆

 王国軍は今後も、幾多の困難が待ち受ける再編の道を歩み続けていく。秘匿性の高い部隊によるクーデター策謀――この事件の投げかける問題は深刻だ。国防が使命である以上、軍組織には秘密がつきものだが、クーデターではそれが陰謀の隠れミノになった。

 遊撃士協会との協力姿勢を積極的に打ち出すなど、硬直した組織に風穴を開ける動きは軍内部からも起こっている。任務遂行上の秘密を保持しつつ、いかに風通しの良い組織を作るか――王国軍の再起に向けての旅は、まだまだ始まったばかりである。

 

【外交】女王陛下が提唱! 3ヶ国間の不戦条約

 外交部の発表によると、エレボニア帝国、カルバード共和国、そしてリベール王国の3ヶ国は不戦条約(相互不可侵条約)の締結に合意。早急に調印を行うべく関係機関が具体的な調整に入った模様だ。

 本条約の構想はアリシア女王陛下ご自身によるもので、王国議会での承認を経たのち、外交部が交渉を続けていた。

 ――《百日戦役》から10年、この条約が3ヶ国間の関係に光明をもたらすことを切に願いたい。

 

◆作戦本部長 退任を示唆?◆

 王国軍のトップが近日中に交代するかも知れない。現作戦本部長のモルガン将軍が、先日の定例会見にて後進に道を譲ることを言明。軍再編に区切りがついた時点での退任を示唆した。後任と目されるのは、現在将軍の右腕として活躍するカシウス・ブライト大佐。軍に若きリーダーが誕生することになるのか――今後の動静に注目したい。

 

 

2号

【特集】迫る! ルーアン市長選挙

 

◆2名の候補者 垣間見えるルーアンの課題◆

 ダルモア前市長の逮捕を受けて行われることになったルーアン市長選挙。クーデター事件の影響で先送りとなっていたが、先日ついに公示を迎えた。

 立候補したのは実業家のノーマン氏と港湾の責任者ポルトス氏(届出順)。共に明確な支持基盤を持つ候補者同士の一騎打ちとなった。ルーアン市民が未来を託すのはどちらか――白熱する選挙戦の模様をお伝えする。

 

【観光事業推進派 ノーマン候補】

 リゾートホテル《ブランシェ》のオーナーで、早くから観光業の発展に尽力してきた。もちろん、公約の要点は『観光の活性化』。「第三次産業が今後のルーアン経済の屋台骨を担う」との同氏の主張には賛同者も多い。

 

【港湾事業維持派 ポルトス候補】

 港地区の現場主任であり、ダルモア市政の頃から港湾施設の維持管理を訴えて来た。公約は『港湾事業の維持』。地域経済の基盤の建て直しを主張する同氏の意見は、港湾区の労働者を中心に支持を集めている。

 

有権者たちの声◆

 現在のところ意見は真っ二つに分かれている。観光業の盛んな北街区ではノーマン候補が優勢、港湾区ではポルトス候補が有利と、はっきりした対立の構図が浮かび上がっている。

 

◆どうなる? 選挙の行方◆

 両陣営とも堅固な支持基盤を持つため、今後は相手陣営の切り崩しが争点となる。ノーマン候補有利との見方もあるが、まだ十分に逆転が考えられる形勢だ。どこまで反対派を取り込めるのか――両候補のしれつな戦いは投票前日まで続く。

 

【社会】魔獣の脅威 その増大について

 王国軍の報告によると、ここ最近リベール各地で魔獣の凶暴化、および新種の出現が確認されているという。直接の原因は不明で、地下に眠るといわれる七耀脈の周期的な活性化、惑星直列による影響、太陽の異常活動などなど、様々な未知の現象へと結び付ける仮説が百出しているが、いずれも論拠は乏しい。

 王国軍も引き続き原因の究明にあたるというが、この現象が解決される見通しは薄い。街道を通行する際にはくれぐれもご用心を。

 

【社会】カシウス准将、作戦本部長に

 王国軍に新たなトップが誕生した。人事部はモルガン将軍に代わってカシウス・ブライト准将(同日付けで大佐から昇任)の作戦本部長着任を発表。新体制が王国軍をどう導くのか、カシウス准将の手腕に期待が集まる。

 

【外交】不戦条約、調印式はリベールで

 不戦条約の調印式はリベール国内で執り行われることが確定的となった。当初は3ヶ国の中間地点も検討されたが、保安上の理由で断念。帝国・共和国間の確執を考えれば、この決定は妥当な着地点といえよう。

 

【技術】各所で配備の動き 新型戦術オーブメント

 王国軍だけでなく導力器にも世代交代の波が到来か。エプスタイン財団が開発した新型の戦術オーブメント(写真)が急速な広まりを見せている。

 スロットの数は1つ増えて7個、従来のクオーツとの互換性はないが、強力な新型アーツが使える点が遊撃士らに評価されているという。各地の工房もすでに新規格に対応した機材を用意している。こちらも新旧交代が一気に進みそうな気配だ。

 

3号

【特集】あわや大乱闘!? 過熱する市長選

 

◆表面化した両陣営の争い◆

 投票日が近づくにつれ、さらに激しさを増していたルーアン市長選。争いはついに支持者同士の騒動にまで発展してしまった。幸いにして暴力沙汰には発展しなかったものの、騒動の直接の引き金は運動員の言い争いであったという。議論は結構だが、論敵への尊敬なき意見は暴言に過ぎない。両候補および支持団体、そして支持者の1人1人に猛省を促したい。

 

◆深刻さを増す対立 両候補は歩み寄りを◆

 事件の背景には、支持者間の深刻な対立がある。主義主張の違いからある程度の反目が生じるのは致し方ないが、ルーアンの現状はあきらかに行き過ぎといえよう。今両陣営に求められるのは、過激な言動による人気集めではなく、自省と歩み寄りの精神だ。

 

◆仲裁者はリュートの音色?◆

 乱闘へ発展する危険もあった今回の騒動。爆発寸前の群集をなだめたのは、何と「リュートの音色」だったという。とある演奏家が船上で奏でていたものだそうだが……やはり音楽とは愛の言葉なのだろうか?

 

【社会】ルーアンに亡霊あらわる?

 夜空を舞う『白い影』を見た――白熱する選挙戦の一方、そんな目撃談がルーアン地方で相次いで報告されていた。『影』が現れるのは決まって夜。人の姿のように見えることから市民の不安も広まり、ついには遊撃士協会が調査を開始、結局「愉快犯による悪質ないたずら」(同支部代表)であったことが判明した。犯人は行方をくらましているが、犯行に使用された物品は回収されており再犯の恐れはないという。

 

【社会】不戦条約 平和の誓いはエルベ離宮

 外交部の発表によると、調印式の会場はエルベ離宮に正式決定。今月末の開催を目指し、関係各国との調整をはかっていく見通しとなった。これを受けて王国軍も警備計画の立案を急ぐ模様。いよいよ式典の準備が本格化してきた。

 

【速報】ツァイス地方で地震

 昨日午後、ツァイス地方のヴォルフ砦付近で地震があった。時間にして10秒ほどの揺れで、特に被害等は報告されていない。

 

 

4号

【特集】ツァイス中央工房長 地震の終息を宣言

 

◆ツァイスの群発地震 ようやく終息◆

 ツァイス地方で続発していた地震も、ようやく終息を迎えたようだ。前号で速報としてお伝えしたヴォルフ砦を皮切りに、ツァイス市、セントハイム門、レイストン要塞と、次第にその強さを増していく地震に市民の多くが不安を募らせていた。

 

◆突然の“安全宣言”◆

 ところがレイストン要塞の地震から間もなく、中央工房マードック工房長の名義で“安全宣言”が公表される。突然の発表に戸惑いの声も聞かれたが、事実それ以降地震は起きていない。なぜ、早期の安全宣言が可能であったのか。マードック工房長は「特殊な要因で発生した地震と特定できたため」と説明する。今回の地震は地下の七耀脈(自然に存在する導力の流れ)を原因としており、その解析から活動の終息を正確に予測できたのだという。

 ひとまず地震の脅威は去った。しかし、工房長が安全宣言の中で「備えることの重要性」を説くように、災害はいついかなる時に起こるか判らない。この地震を教訓に地域の防災態勢を見直す必要があるだろう。

 

【技術】新型エンジン ついに完成!

 中央工房で開発されていた新型の導力機関がついに完成、報道陣に公開された。

 同エンジンは巡洋艦《アルセイユ》のために設計され、従来を大幅に上回る出力、そして野外での修理も可能な高い整備性を誇っている。同エンジンを搭載した《アルセイユ》の巡航速度は時速3200セルジュに達し、これは定期船の平均運航速度の4倍に相当する。もちろん、現在のところ世界最速の船である。

 

【外交】新型エンジンが取り持つ3ヶ国の和平

 前頁でお伝えした新型エンジン。調印式では同機のサンプルが帝国・共和国双方に提供される予定だが、実はその提案が本条約の実現にも重要な役割を果たしていたようだ。

 次世代飛行船の鍵を握ると言われる同エンジン。技術供与は両国で「平和の果実」と解釈され、条約の肯定的評価につながった。順調に進んだ交渉の裏には、その影響が少なからずあったと言われている。

 リベールの技術が取り持った不戦の誓い――諸国との融和を掲げる王国外交の切り札として、今後も新型エンジンに寄せられる期待は大きい。

 

【社会】エルモ温泉 一時沸騰状態に

 群発地震に見舞われたツァイス地方。南部に位置するエルモ村でも、温泉のお湯が沸騰するという奇妙な事件が起きていた。現象は数時間後に自然に収まったものの、今に至るも原因は不明。付近で地震が頻発していたことから、地下で何らかの異常が起きたとも考えられる。源泉の調査に当たった遊撃士協会によれば、この現象は「一時的なもので再発の恐れはない」(現地支部代表)とのこと。地震との関連については中央工房と協力して引き続き調査が行われる予定だ。

 

 

5号

【特集】ルーアン市長選 ノーマン候補が当選!

 

◆新市長にノーマン氏◆

 ついに投票日を迎えたルーアン市長選。ルーアン、マノリアの両投票所には朝早くから有権者が詰めかけ、心配された混乱も無いまま同日夜に投票は終了。駐留兵士などの期日前投票と合わせて即日開票が行われた。

 開票の結果、有効投票の約6割を獲得してノーマン氏の当選が確定。激しい戦いが繰り広げられた選挙戦は、ノーマン氏の勝利という形で幕を下ろした。

 

◆ノーマン新市長 「港湾事業も重要」◆

 観光業の未来を訴え、見事当選を果たしたノーマン新市長。公約通り観光業を活性化する施策を打ち出していく方針だが、当選後のインタビューでは「港があってこその観光事業」と慎重な姿勢を示した。実業家の同氏がこれからどのような市政運営を見せるのか、港湾事業への対応はその試金石になるかも知れない。

 

◆敗れたポルトス氏 全面協力の構え◆

 惜しくも敗れたポルトス氏だが、今後は港湾の責任者として新市長を支えていく決意を表明。支持者同士の小競り合いが起こるまでに激化した対立を少しでも修復する考えだ。港湾設備に詳しい同氏の助言は、市政に新たな視点を与えてくれるものと期待される。

 

【社会】迫る調印式 王都は生誕祭以来の賑わい

 不戦条約の調印式がいよいよ来週末に迫った。各国来賓の集う式典とあって注目度も高く、王都には季節外れの観光客が押し寄せている。北街区の一等地に立つホテルには連日予約が殺到、昨年の生誕祭以来の活況に嬉しい悲鳴をあげている。飛行船公社によると諸外国からの旅行者も例年以上となる見込みで、時ならぬこの賑わいは調印式当日まで続きそうだ。

 

【社会】王国軍 エルベ離宮に警備本部を設置

 条約調印式の会場となるエルベ離宮に王国軍主管の警備本部が設置された。昨日午後には警備を指揮するシード中佐も着任。調印式の終了まで、魔獣の掃討や関係者の警護などの保安上の任務を遂行する予定だ。

 

【国際】条約締結の背景 クロスベル問題

 エレボニア帝国とカルバード共和国の中間に位置するクロスベル自治州。この大陸中部では貴重な七耀石産出地を巡って、両大国が過去に幾度となく衝突を繰り返してきた。両国の最後の武力衝突以降、同地方は自治州として政治的中立を保ってきたが、近年の導力技術の発展、七耀石の需要増に伴って問題は再燃の兆しを見せていた。

 女王陛下が不戦条約の締結を急がれた背景には、このクロスベル問題があったといわれる。今回の条約について安全保障上の効力を疑問視する声もあるが、大陸西部の安定を包括的に眺めた場合、その協議過程を通じ帝国・共和国間で意見の交換が行われたことは少なからぬ意義がある。条約の締結は平和を約束するものではない。それを足掛かりとした対話の継続、そして相互の信頼関係の構築こそが、これから平和を作りあげていくのである。

 

【社会】小誌に脅迫状 『条約関連記事差し止めよ』

 王都西街区にある小誌編集部に、不戦条約に関連した記事の差し止めを求める脅迫状が届いた。編集部では直ちに王国軍および遊撃士協会に報告。今のところ具体的な事件には発展していないが、すでに関係機関によって調査が開始されている。

 

 

6号

【特集】情報部残党 王都で再決起を目論む!

 

◆カノーネ元大尉逮捕 人質の公爵もご無事◆

 旧情報部の残党が、再び王都の夜を震撼させた。

 港湾区にて蜂起した彼らは、デュナン公爵閣下を人質に王城へ進撃を開始。しかし、急行した遊撃士、王室親衛隊が死闘の末にこれを制圧。公爵閣下を無事に保護し、カノーネ元大尉(27)以下全員を逮捕した。

 元大尉の逮捕により、クーデターの中心メンバーは全て拘束されたことになる。長きにわたった同事件も、ようやくの決着を迎えることとなった。

 

◆潜伏 そして再決起◆

 遊撃士協会の調査によると、クーデター事件後カノーネ元大尉らは捜索を逃れるためボース地方北部のラヴェンヌ廃鉱に潜伏。再起の機会を窺っていたが、公爵閣下の謹慎処分が解かれるのを機に今回の計画を実行に移したと考えられる。

 

◆周到な計画 戦車までも用意◆

 元大尉らは蜂起に先立ち、情報部で秘密裏に開発されていた導力戦車を用意。その圧倒的な火力を以って一気に王城を制圧する計画を立てていた。戦車の起動に必要な高出力の導力機関には、港湾事務所に保管されていた《アルセイユ》用の新型エンジンを流用するど、“雌狐”と仇名される元大尉の作戦計画は抜け目のない周到なものだった。結局その企みは遊撃士と親衛隊士の連携の前に潰えるが、一歩間違えば悲劇的な結末を迎えていた可能性もあった。雌狐の狡猾な瞳は、確かに白ハヤブサの姿を捉えていたのだ。

 

◆目撃された巨大な影 事件との関連は?◆

 事件当夜、港から飛び去る巨大な影を目撃したとの報告が多数寄せられている。今のところ事件との関連は不明。調査中ということもあり、関係者からの詳しいコメントは得られていない。

 

【外交】いよいよ明日 不戦条約調印式

 歴史的な日が明日に迫った。不戦条約の調印式に備え、列席する各国来賓も続々と王都入り。エルベ離宮周辺には物々しい警備体制が敷かれた。ここ数日の好天も、もうしばらく続く見込みだ。準備は整った。明日という一日に女神の加護のあらんことを。

 

【社会】脅迫状事件 愉快犯の犯行か

 先日小誌を始め、不戦条約の関係機関に送りつけられた脅迫状。一時は情報部との関連も疑われたが、具体的な被害がないことから、愉快犯の犯行が有力視されている。王国軍は規模を縮小して調査を続けると共に、市民に情報の提供を求めていく構えだ。

 

【社会】カプア空賊団 自らの飛行艇を強奪!

 《リンデ号》事件で世を騒がせたカプア空賊団が再び現われた。空賊団は霧降り峡谷の元アジト(現在は王国軍の飛行訓練場)に密かに潜入、自らの飛行艇《山猫号》を奪って逃走した。現在、国境師団がその行方を追っている。

 カプア空賊団は《リンデ号》事件で逮捕拘留されていたが、クーデター事件の混乱に乗じて脱走。改めて王国全土に指名手配されていた。

 

 

7号

【特集】3ヶ国の不戦条約 ついに調印

 

◆不戦条約 調印の瞬間◆

 記念すべき調印式はアリシア女王陛下による不戦の誓いで幕を開けた。立会人であるカラント大司教の見守る中、女王陛下、帝国・共和国の両全権大使が条約に署名。3ヶ国による不戦条約はここに現実のものとなった。

 《百日戦役》から10年――女王陛下が一貫して推進して来られた融和外交が、1つの大きな実を結んだ瞬間であった。

 

◆調印を見守った各国来賓◆

 帝国皇帝ユーゲント陛下、ロックスミス共和国大統領の直接のご列席はなかったものの、謁見の間には各国要人が集い、条約への注目の高さを改めて示した。

 片隅の記者席には小誌を始め内外の通信社が集結。正装に身を包んだ列席者をカメラの砲列で出迎え、歴史的な調印をフラッシュの嵐で祝福した。

 

◆新型エンジンのサンプル贈呈◆

 調印式の最後には帝国・共和国の双方に新型エンジンのサンプルが贈呈された。女王陛下は「技術は独占するものではなく共有するもの」と改めてご自身の理念を述べられ、新しい技術が3ヶ国で平和に利用されることを願う言葉で式典を締めくくった。

 

◆不戦条約と3ヶ国の未来◆

 不戦条約の効果を疑問視する声は依然として内外にくすぶっている。しかし、以前に小誌が指摘したように今回の条約の意義はエレボニア、カルバード双方に対話の機会を与えた点にある。懐疑派諸氏のご意見通り、条約を破るための口実は無数にある。条約の上にあぐらをかくことなく、それを出発点として両国との交流を活発化し、互いの理解を深めること――それこそが真の安全保障ではなかろうか。今回の不戦条約の締結は、平和へと続く道の出発点に過ぎない。

 

 

【社会】ロレント地方で濃霧が発生

 一昨日の早朝から昨日午後にかけ、ロレント市周辺で極めて濃い霧が発生。定期船が丸一日出港を見合わせるなど、交通を始めとした市民生活に大きな影響が出た。これほどの濃霧は同地の記録にもなく、住民たちも突然の自然のいたずらに困惑した様子だった。

 

 

特別号

【速報】古代竜あらわる!!

 

◆ボース市に飛来! 伝説の古代竜◆

 本号の書き出しに言葉は必要ないだろう。黙って写真をご覧頂きたい――これが昨日正午、ボース市に現われた「竜」の姿だ。東の空から飛来した竜は、ボースマーケット屋上に「着陸」。全長はおよそ40アージュの巨体に踏みつけられたマーケットの天井は崩落し、買い物客に多数のケガ人が出た。その後、竜は北西のラヴェンヌ村までも襲撃。炎の吐息によって村内の果樹園を焼き払い、雲の彼方へと飛び去った。

 事件発生直後に王国軍は周辺空域を封鎖。現在は国境師団を中心に竜の行方を追跡している模様だ。

 

◆逃げ惑う市民 マーケットに大きな被害◆

 竜に踏みつけられ、ドーム型の天井部分が崩落したボースマーケット。遊撃士らによる迅速な救助活動にも関わらず、多数のケガ人が出た。未だ意識を取り戻さない被害者もおり、なお予断を許さない状況だ。

 現在マーケットの立入は禁止され、営業再開の見通しは立っていない。同市の象徴とも言える建物の突然の惨事に、市民は一様に声を失っていた。

 

◆果樹園が全焼 悲嘆に暮れるラヴェンヌ村◆

 ボース地方の北部のラヴェンヌ村では、竜の襲来により果樹園が焼失。果物の名産地として知られる土地だけに、村民の間には動揺が広がっている。

 

◆女王陛下、緊急声明を発表 「速やかな対応を」◆

 各地に被害が出たことを受け、アリシア女王陛下から被災地への緊急の支援が発表された。また、同声明の中で女王陛下は、これ以上の被害の拡大を防ぐため王国軍に可能な限りの対策を講じるよう要請したことを表明。軍関係者の話によると、部内ではすでに作戦の立案に入っている模様だ。竜の行方は依然として不明で、いつどこが襲撃にさらされるかも判らない。市民の不安を取り除くためにも、具体的な対策の実施が待たれる。

 

◆荒れ狂う古代竜 伝承と異なるその実像◆

 伝承の中で語られている温和で理知的な「竜」。我々の前に姿を現したのは、果たして同じ「竜」なのだろうか? 古生物の専門家は「外形的特徴から同一と考えて間違いない」と指摘する。だが、人里のみを相次いで襲撃した今回の竜の姿は、伝承に描かれた姿とは大きくかけ離れている。この不一致は何を意味するのだろう。「竜は1200年前の大崩壊以前からの生き残り。環境の変化に戸惑っている可能性もある」(同専門家)とのことだが、真相は依然として闇の中である。王国軍による対応策が検討される中、研究者たちの表情にも焦りの色が浮かんでいる。

 

 

8号

【特集】古代竜の脅威去る

 

◆古代竜 リベール領空外へ◆

 ボース地方に突如として現れ、各地に甚大な被害をもたらした竜。先日行われた捕獲

作戦の後、竜はリベール領空外へと飛び去ったことが王国軍により確認された。国境師団ではその後も哨戒活動を続けているが、現在に至るも竜の姿は確認されていない。

 作戦の開始から、竜の「国外退去」が確認されるまで――王国軍最前線の動きを追った。

 

◆『竜捕獲作戦』の全容◆

 竜出現の翌日、被害の拡大を防ぐべく王国軍はすぐさま『捕獲作戦』の実施を決断する。「捕獲」と銘打たれた背景には、聖獣とも言われる竜の命を尊ぶ女王陛下のご意向があったと言われる。

 作戦の概要は、複数の艦艇で竜をヴァレリア湖へと追い込み、麻酔弾によって無力化するというもので、航空戦力の中核を占める飛行艦隊の他、新型エンジンを搭載したばかりの巡洋艦《アルセイユ》までもが投入されることとなった。本誌記者もオブザーバーの遊撃士と共にその《アルセイユ》に乗艦、《百日戦役》以降最大となった作戦行動に密着した。

 

◆失敗に終わった最初の捕獲作戦◆

 上空待機が続いた正午過ぎ、ようやくマルガ鉱山上空にて竜を発見との報が入る。モルガン将軍は直ちに作戦の開始を号令。ここに竜捕獲作戦は決行された。

 王国軍の誇る飛行艦隊は、巧みな連携で見事に竜をヴァレリア湖上へと追い込む。そして麻酔弾を一斉射撃――たちまちにして竜は意識を失い、ついにその身を湖上へと横たえた。作戦の成功に沸き返る艦内――だが、伝説の竜は想像を遥かに凌駕する存在であった。

 沈黙していたその巨体は突如として覚醒。牽引の準備に取り掛かっていた王国軍艦艇を置き去りに、瞬時に雲間へと消えてしまう。《アルセイユ》を先頭に必死に後を追った飛行艦隊だったが、竜の常識を超えた飛行能力についていけず、とうとう霧降り峡谷上空で目視はもとより導力反応まで失ってしまう。

 王国軍の総力を結集した作戦は失敗に終わった。重い沈黙の訪れた艦内に、新型エンジンの咆哮だけが虚しく響いていた。

 

◆果断即決の代替作戦 地上からの捜索◆

 万全と思われた作戦のまさかの失敗。しかし、王国軍首脳は迅速に次の手を打つ。オブザーバーとして同行していた遊撃士に、霧降り峡谷での竜の捜索を要請したのだ。ギルド側もこれを快諾。作戦失敗からわずか数時間後、早くも代替作戦が開始されたのだった。

 そしてこの果敢な決断はすぐに成果を挙げることになる。遊撃士の行動に刺激されたのか、峡谷に潜んでいた竜が再び上空に姿を現したのだ。

 

◆飛行艦隊 竜の離脱を確認◆

 飛行艦隊は竜の出現と同時にそれを補足。追跡を開始した将兵らが目撃したのは、リベール領空外へ悠然と飛び去る竜の姿だった。王国全土を震撼させた事件は、こうして一応の終幕を迎えた。

 

◆古代竜 再来の可能性は?◆

 果たして古代竜は本当に立ち去ったのか? 再来の可能性について王国軍は「現時点では判断が難しい」と態度を保留している。当分は国境空域の哨戒活動を強化し、不測の事態に備える構えだ。

 

【社会】被災地に義援金 匿名で1000万ミラも

 被害に遭ったボース市、ラヴェンヌ村にリベール各地から多くの義援金が集まっている。中には匿名で金耀石の結晶(時価にして約1000万ミラ)を送って来た人物もおり、関係者の間でも驚きの声が上がっている。これらの義援金は国庫からの支出金と合わせ、復興事業に当てられる見通しだ。

 

【社会】ボースマーケット営業再開

 竜の襲撃から一週間。急ピッチで修復作業が行われて来たボースマーケットが、本日営業を再開する。

 ボース市長メイベル女史のもと、地元商人が協力してこのスピード復旧を実現した。「《百日戦役》直後の団結を思い出した」と同地のご老人も目を細める。

「商人の町」の魂はいまだ健在ということか。

 

 

9号

【特集】新生王国軍 その変革に迫る

 

◆変化した王国軍◆

 『竜捕獲作戦』においてはオブザーバーとして遊撃士を作戦に同行させた王国軍。何かにつけてギルドとの連携が取り沙汰されていたかつてと比べれば、明らかにその体質に変化が起きつつあるようだ。

 今、王国軍に何が起きているのか?組織再編で中心的な役割を担ってきたカシウス准将に焦点を当て、改革の背景と成果に迫った。

 

◆組織改革の原点◆

 組織の再編にあたり、カシウス准将には当初からひとつの理想があったと言われる。《百日戦役》で自身が率いた独立機動部隊である。

 「独立」と銘打たれている通り、この部隊は小規模ながら単独での作戦行動が可能な編成をとっていた。開発されたばかりの軍用艇を用い、帝国軍の背後に回りこむことで敵の戦線をかく乱。王国内部に侵攻していた帝国軍を分断し、戦局を逆転する契機となったことは周知の通りだ。小規模であるがゆえの各部の連携の緊密化、その結果としての戦果(所期の目的)の最大化――カシウス准将の念頭に、当時の戦訓があったことは想像に難くない。

 

◆浸透する理念◆

 事実、王国軍各部では准将の理念に沿った改革が浸透しつつある。冒頭で挙げた『捕獲作戦』の経過は、その好例だろう。国境師団、飛行艦隊、王室親衛隊と指揮系列の異なる部隊が集まったにも関わらず、状況の変化に合わせて編成は柔軟に変更された。さらに作戦が失敗した後に、現地指揮官の判断で遊撃士への協力が要請されたことも特筆に値する。正規軍としての面子にこだわっていた王国軍は、もはや過去のものなのかもしれない。

 

【速報】「紅蓮の兵士」 各地で目撃相次ぐ

 リベール各地から「所属不明の兵士」を目撃したとの報告が相次いで寄せられている。問題の兵士たちが鮮やかな赤い鎧を着ていることから目撃者の間では「紅蓮の兵士」と呼ばれており、飛行艇を使って活動しているとの未確認情報もある。王国軍も警戒を強めているが、噂や憶測に惑わされないよう市民に注意を促している。

 

【速報】王国軍 警戒態勢を一段階引き上げ

 所属不明の武装集団についての報告を受け、軍作戦本部は緊急に警戒態勢の引き上げを決定。遠隔地の拠点は事実上の臨戦状態に入るため、街道の交通は控えるよう勧告が出された。作戦本部は情勢の推移を慎重に見極める方針だが、レイストン要塞駐屯部隊では五大都市への展開の準備が進んでいるという。情報が錯そうしているが、読者諸賢にはくれぐれも冷静な行動をお願いしたい。

 

 

10号

◆読者の皆様へ◆

 ご承知の通り、現在王都一帯(王国全土との情報もあるが確認が取れていない)は全ての導力器が停止するという異常事態の中にある。製造業、流通業への影響は深刻であり、かく言う小誌編集部も今号の発刊には多大な困難が伴った。全国一斉発売を方針として来た小誌にとって痛恨の極みであるが、通信社の最低限の責務を果たすべく、今号は発売地域を王都に限定してお送りする。また記事中、事実関係の確認が不能のため曖昧な表現があることを併せてお詫びする。非常時ゆえの止むを得ない措置であることをお断りし、改めて読者諸氏のご理解を乞う次第である。(編集長)

 

 

【速報】戦慄! 王国各地で相次ぐ戦火

 

◆各都市周辺に魔獣の群れ◆

 王国軍によると、昨日午前から王都を除く五大都市近郊で正体不明の魔獣の群れが発生。展開していた防衛部隊との間で激しい戦闘が繰り広げられたが、午後には魔獣の行動が沈静化、幸い都市部への被害はなかった。

 

◆紅蓮の兵士 各地の関所を襲撃◆

 魔獣の発生とほぼ同時刻、以前から目撃情報のあった「紅蓮の兵士」が各地の関所に襲来。臨戦態勢で警戒に当っていた各守備隊と交戦状態に入った。確認の取れている限りでは、陥落した関所は皆無の模様。紅蓮の兵士らは飛行艇により撤退したとの報もあるが、王国軍側の被害状況も含めて詳しいことはまだ判っていない。

 

◆紅蓮の兵士 その正体は?◆

 今回の衝突で、紅蓮の兵士らが高度に組織化された部隊であること、同時に高性能の飛行艇までも運用していることが明らかになった。兵士たちの所属については、依然として国外で活動する《猟兵団》が最有力だが、問題は飛行艇の供給元である。飛行艇の建造技術を保有しているのは大陸でも数社に限られ、それらが《猟兵団》との接点を持つとは考えにくい。

 この謎の武装勢力については、その潜伏先を含めて遊撃士協会が調査中である。早急に成果が挙がることを期待したい。

 

【速報】謎の浮遊物体 ヴァレリア湖上に出現!

 昨日未明、金色の光と共にヴァレリア湖上に巨大な浮遊物体が出現。同時にすべての導力器が停止したこともあり、王都周辺は一時パニックに陥った。

 浮遊物体の出現と導力器の停止との間には何らかの関連があると考えられるが、今のところ単なる憶測に留まっている状況だ。

 

【速報】導力器は未だ動かず 代用品の確保を

 導力器の停止現象が依然として続く中、王都行政部では市民に代用品の準備を呼びかけている。照明はランプやロウソク、暖房は薪ストーブや固形燃料でもまかなえる。導力器の異常は機械的なものではないので現状では修理の方法がない。事態が長期化した場合に備えて、最低限の生活が営めるよう我々市民も用意だけはしておきたい。

 

【速報】《四輪の塔》で再び異変か!?

 各都市近郊で防衛部隊が魔獣との戦いを繰り広げていた頃、王国各地に立つ古代遺跡《四輪の塔》では、屋上が『黒い球体』に覆われるという現象が目撃されていた。同遺跡では生誕祭の直後にも謎の光が確認されており、研究者たちの注目を集めていた。

 

 

11号

【速報】白昼の市街戦 「紅蓮の兵士」王都侵攻!

 

◆「紅蓮の兵士」王都にあらわる!◆

 昨日正午、導力器の停止によって混乱の渦中にある王都に、「紅蓮の兵士」が突如として飛行艇で侵攻。王国軍の防衛線を突破して市街区へと侵入し、一部は王城へ向かって進撃を開始した。導力が停止しているにも関わらず平然と導力兵器を駆使する敵勢力に対し、銃器すら使用できない王国軍は大苦戦。王城の陥落はもはや時間の問題かと思われた。

 

◆予期せぬ援軍 旧特務部隊の登場◆

 しかし、窮地に陥った王国軍に思わぬ援軍が現われる――黒装束に身を包んだ彼らこそ、クーデターを策謀し、反乱謀議の罪で解隊された旧情報部特務部隊であった。護送中に王都侵攻に巻き込まれた彼らは、混乱に乗じて逃亡する代わりに身を挺して祖国の危機を救うことを選んだのだった。

 白兵戦のエキスパートとも言える特務部隊の登場によって、王国軍はようやく息を吹き返す。形勢を立て直した王国軍部隊はこの機に乗じて反攻を開始。遊撃士たちの奮戦もあって、次第に戦線を押し戻していく。そして市街地での激戦の末、ついに紅蓮の兵士らを撤退へと追い込む。王都存亡の危機は辛くも回避されたのだった。

 

武装勢力の背後に国際犯罪組織◆

 これまで一切が謎に包まれていた紅蓮の兵士ら。その正体が少しずつではあるが見えて来たようだ。王国軍と遊撃士協会の調査により、同武装勢力の背後には《結社》と呼ばれる国際犯罪組織が存在していることが明らかになった。紅蓮の兵士へ供与されている武器の水準からして《結社》は極めて高い技術力を有するものと考えられるが、その活動の目的は明らかになっていない。王国軍では今後とも遊撃士協会、各国捜査機関と連携し、組織の全容解明に全力を注ぐ方針だ。

 

【速報】クローディア殿下 王太女に

 王国の行方に暗雲が垂れ込める中、久々に明るい報せが飛び込んで来た。

 アリシア女王陛下は臨時の会見にてご孫女であるクローディア殿下を王太女とされたことをご宣明。略式ではあるが立太女の儀も執り行われ、正式にクローディア殿下が王位を継承することが確定した。弱冠16歳にて重責を担うことを決断されたクローディア殿下。その未来が輝かしいものとなるよう、今はこの国難を一致協力して乗り越えていきたい。

 

【速報】『零力場発生器』 停止現象を解決か?

 王都だけでなく王国全土で起きていることが明らかになった導力器の停止現象。中央工房のラッセル博士が開発した『零力場発生器』は、その解決に向けた糸口となるかも知れない。

 『零力場発生器』は「停止現象を中和」する導力波を放射する装置であり、数リジュ以内にある導力器を正常に機能させる効果を持つ。製造には高度の技術が必要なことから大量生産は難しいが、すでに王国軍と遊撃士協会の通信機には同装置が組み込まれているという。この画期的発明が事態収拾への突破口となることを期待したい。

 

特別号

 

【特集】浮遊都市《リベル=アーク》崩壊!

◆あの謎の浮遊物体が突然の大崩壊!◆

 先月よりヴァレリア湖上に出現していた謎の浮遊物体は、出現時と同様、突如として崩壊した。この様子をご覧になっていた方も多いと思うが、轟音と共に崩れ落ちる様子は、王国内に留まらず、帝国南部や共和国においても認められたという。ごく一部ではこの物体が王国軍所有の兵器ではないかと囁かれていたが、今回全面否定された形だ。

 またこの大崩壊の衝撃により、ヴァレリア湖沿岸地域では、最大約2アージュ津波が発生した。現在のところ、怪我人や行方不明者の情報は入っていないが、逃げ遅れた釣り人らが巻き込まれ、水を被った模様だ。

 

◆浮遊都市《リベル=アーク》とは?◆

 王国軍親衛隊と遊撃士協会の調査によると、この浮遊物体は《リベル=アーク》と呼ばれる古代ゼムリア文明の浮遊都市であるという。そのようなものが何故ヴァレリア湖上に出現したのか、また何故崩壊に至ったのかは現在も調査中であるが、国際犯罪組織通称《結社》が関与している事は間違いないようだ。正式な確認は取れていないが、都市内で紅蓮の兵士と遭遇した調査隊が交戦したとも言われている。

 

<ある調査員の話>

 ここは分かんない事だらけだけどさ、あんな連中に好き勝手させるワケにはいかないね!

 なおツァイス中央工房と王国軍は、今後共同で《リベル=アーク》の引き上げ・調査を行う予定だ。

 

◆導力停止現象の回復◆

 《リベル=アーク》の崩壊と前後して、王国全土で発生していた『導力停止現象』は終息した。現象を引き起こしていたのは《リベル=アーク》だったという推測もなされているが、現在のところそれを立証するものは見つかっていない。今後の調査が待たれるところだ。

 

◆解説◆

 今回の停止現象とその混乱は、我々が日頃どれほど導力器に依存していたかを痛感させてくれた。このような事態は二度と起こらないかもしれないが、これを教訓とし、導力器に頼らない備えと心構えを持つべきだろう。そして導力器という存在に、今改めて感謝しなければならない。

 

【政治】クローディア王太女、ご活躍

 速報でもお伝えしたが、クローディア殿下がこのほど王太女となられた。リベール通信では今後、殿下の表記をクローディア王太女に統一する。

 クローディア王太女は早速、エレボニア帝国のオリヴァルト皇子と会談なされ、両国の友好的な関係をご確認なさった。またお二人はそのまま巡洋艦《アルセイユ》にもご搭乗なされた。今回の会談によって両国の和平関係に弾みがつくものと期待される。

 またグランセル城にて主催される祝賀会には、ご両名とも出席なさる予定とのこと。この祝賀会の様子も追ってお伝えしたい。

 

最後に ―特別号配信に寄せて―

 この一年ほどで、リベール王国には多くの事件難題が降りかかった。クーデター事件から《四輪の塔》の異変、地震や濃霧といった異常現象、古代竜の襲撃。そして王都襲撃と導力停止現象、《リベル=アーク》の出現と大崩壊。

 この全ての事件解決に携わった遊撃士たちがいた。どのような事態にも決して諦めず、不屈の精神と輝きをもって私たちを支え、事件解決へと導いてくれた。彼ら彼女らがいなければ、事態の収束はなかったかもしれない。あるいはもっと何か、悪い結末を迎えていたかもしれない。この場を借りて、16歳の若き遊撃士たちに感謝の気持ちを伝えたい。

 

   ありがとう。私たちの希望の翼。